第25話 松尾守の休日

 ♪♪~


 朝から俺のスマホが鳴っていた。


「……うーん……電話……か――ばあちゃんかな」


 とかつぶやきつつ俺はスマホを探し――手に取る。そして画面の確認。


 予想通りばあちゃんだった。時間を見ると……なるほど、朝食の時間になっても俺が起きてこなかったからモーニングコールか。


 ということで俺はまだ眠いが……起き上がり。着替えなどを済ませてじいちゃんばあちゃんの家へと向かった。


「おはよ。じいちゃん」

「おお」


 じいちゃんはテレビを見つつ納豆を混ぜていた。よく見る朝の光景。今日も平和だ。ちなみに俺は納豆が苦手である。この納豆のニオイというか。よくこうやって朝遭遇はするのだが……無理だな。慣れないな。


「守や。たまごはいるかい?」

「あー、あるなら」

「はいよ」


 すぐにばあちゃんからゆで卵を渡された俺。

 殻を割り……としているうちに目の前にご飯やらが出てくる。ありがたいことだ。

そしていただきますである。じいちゃんばあちゃんはホント朝の時間というかご飯の時間は決まっているから、自然と規則正しい生活となる俺だった。まあいい事か。


「そうそう、守や」

「うん?」


 卵を食べようとしたらばあちゃんが声をかけてきた。


「結崎さんなんか言っとったかい?」

「あー、味が染みていて美味しかったって。あと、あの漬物?もいい味だって言ってた」

「よかったよかった。次は――何にしようかね」

「あと、ばあちゃん量は……」

 

 俺が言いかけた時だった。


「そうだ守」

「うん?」


 次はじいちゃんが話しかけてきたのだが。じいちゃんがこうやって話しかけてきた時は――重労働が待っている。ほぼ99%くらいの確率で――100%でもいい気がするが。ごくごくまれに違うこともあるから99%としておこう。


「この前守が言っとったじゃろ」

「なんだっけ?」


 何か俺言った?


「あれだあれ、うちから駅までの道じゃよ」

「あー、草か。道の両脇のうっそうとしてるやつ」


 言いましたわ。


「そうじゃそうじゃ。昨日わしも見てきたが……ありゃ刈らないとだな。あとで手伝ってくれるか?」

「ああ、予定ないし。えっと……とりあえず……一輪車持って行けばいい?」

「うん。で、いつものところに盛っておけばの。あとはばあさんが勝手の畑の肥料やらと使ってくわい」

「了解」

「うむ」


 ということで今日はじいちゃんの手伝いが確定した。


 いや、なんか詳しいことはわからないが。というかこのじいちゃんばあちゃんの家の敷地は一体どこまでなのか。というのを俺は詳しく知らないのだが。

 とりあえず、なんか駅までの道の管理はうちの仕事らしい。年に何回かこんな感じで掃除してるし。

 ちなみに草刈りやあと道路の溝掃除とかを怠ると――なんかうっそうとしてきて……物騒になるな。あと雨の日に道が大洪水やらやらになるな。

 今回も草刈りと一緒に溝掃除もしないとだろうな……とか思いつつ。朝ごはんを食べた後は……動きやすい服装に着替えるため部屋へと戻り着替えた。まあこういう掃除をするときは長袖長ズボンが安全というやつだ。


 ちなみに俺が準備をしている間に、じいちゃんは草刈り機を持って多分もうブインブイン刈っているかと思う。じいちゃんやるとなったら行動早いんだよな。

 そして、俺は今からじいちゃんが刈った草を一輪車に乗せて畑の方に運んでいくというお仕事。刈った草をそのまま道に放置だと溝とかがすぐ詰まるからな。あと風が吹くと、どっかにさようならしていくし。本当はさようならしてもらってもいいのだが。なんかこの草?でも畑の肥料が作れるらしく……集めないとなのだと。これは、ばあちゃん曰くだな。


 俺は家の裏に置いてある一輪車を持ってじいちゃんがブインブイン刈っていっている草を乗せて――結構限界まで乗せて――重い……よし。

 そして畑へと運ぶ。この繰り返しをしばらく行う。ってこれめっちゃ大変なんだよね。何故かって?草を盛るだろ?そしたら畑まで登り。それが続く。で、じいちゃんは駅の方へ進んでいるということは、片付けが進むほど畑との往復の距離が長くなるという。めっちゃいい運動である。

 って、ぼーっとしていると終わらないので俺はどんどん運ぶ。


 そして何回か運んだあたりで畑には、ばあちゃんの姿があった。ばあちゃんはばあちゃんで畑が忙しそうだった。あれだな。結崎へプレゼントというのが出来たから、今まで以上に頑張っているかと。

 俺は途中水分休憩をしつつも、まあお昼まではずっと働いた。腕パンパンである。


「お昼だよー」


 結局ばあちゃんが呼びに来るまで作業は続いた。って、今回はかなり草とかの成長が早いのかなかなか量がすごかった。それはじいちゃんも気が付いていたみたいで。


「今回の草は。すごいの。うっそうとしておる」


 ずっとつぶやいていた。


「ホント。量がすごいし。あと木もかなり伸びたな」

「後で、木も切らんとな」

「1日で終わるんだか……」

「終わらんな」


 そんな会話をじいちゃんとしつつ。ばあちゃんが作ってくれたチャーハンを食べる。今日はレタス多めです。お昼休憩があり……食後にちょっとのんびりがあったと思ったら。


 ――――ブインブイーン。 

 ブイーーン――ブイン。


 その後はまたハード。めっちゃハード。超重労働である。じいちゃんは草刈りがある程度終わったみたいだが。俺の仕事。草を運ぶのはまだまだある。そしてじいちゃんは伸び放題になっていた木の枝とかを切るを始めたから。ゴミというのか。草と木の山がどんどん増えるという。


 まあ結論から言えば――。


「終わるわけねー」


 である。


 半分くらいしたところで夕方になったため本日の作業終了。

 じいちゃんは明日とかもするとか言っていたが。片付け担当は学校のためまあ来週の休みだな。それまでに雨が降るとちょっと厄介だが。とか俺は思いつつ話していたのだが。


「守や。今週から連休じゃなかったかい?」


 ばあちゃんに言われて思い出した。


「—―あっ、そうっか。学校2日行ったら連休だわ」


 俺ゴールデンウイークとか言うことを忘れていた。とか俺が思っている横では。


「今週は何を作ろうかね」

「……」


 どうもばあちゃんが余計な事を考えている気がしたのだが。俺が聞く前に反対側から声がかかった。


「—―守」

「うん?」

「明日か明後日でいいからの。学校帰りに替え刃を買ってきてくれるかの?」

「替え刃?あー、草刈り機の?」

「そうじゃそうじゃ、後で品番だったかの?わかるのどこかに置いてあったはずだかあら。渡すからの」

「了解」


 じいちゃんからの頼みごとがあったため。ばあちゃんが何か考えている。ということを忘れた俺だった。

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