第9話 オリエンテーション 下
――実力テスト。
その名の通りなら現在の実力を見るためのテストだろう。今は――なんでこんなことになっているかわかっていないが。っか入学早々も試験あった気がするんだが――あれは幻だったのか?この学校試験は好きなのかな?
とまあ、あれからずっと……本当にずっと。問題用紙とにらめっこをしている。
再度になるが。まさかの実力テストである。こんなの予定にあったか?とか思いつつも。ボイコット。逃走する。とかはできない為。とりあえず問題を解いている俺。真面目と誰か褒めてほしい。いや、まあ周りもなんやかんやでみんなちゃんとしているのだが。
わかったうちの学校。校則やらやら全部ゆるゆるだから先生もゆるゆる――おっと、いろいろ愚痴を言うと暴言か何かに認定されたりすると厄介なので。言葉を選んで……。
……この学校—―先生も馬鹿だろ。
なんでこんな山奥まで連れてきてテストしてるんだよ。それも結構真面目の試験というか。どっかの業者が作った問題用紙?で、全部マークシートだから最悪——勘で全部埋めれるが。結構ガチな試験問題を出してきているし。ここ進学校かなんかだったか?いや、普通のどこにでもあるちょっと校則がゆるゆるの学校だったはず。
って、普通にどこにでもあるちょっと校則がゆるゆるな学校。って……あまり見ないというか。見たことないわ。って、やっぱ馬鹿だろ。間違いなくここですることではない。俺はそう思う。
――ふー……。
うん?なんか俺余計な事言ったか?
多分頭の中だけだから大丈夫だろう。声には出ていないはずだ。出ていたら今頃全員からの注目を浴びていそうだし。下手したら先生に呼び出しでも……よし。大丈夫そうだ。
1人の生徒が頭の中でいろいろ言った後もさらに時間は流れて……。
◆
結局夕方まで本当に試験をさせられた。途中に10分ずつ休憩があったが……休憩の度に愚痴があちらこちらから飛んでいた。そりゃそうだよな。多分みんなワイワイできるとか遊び感覚で来ている人が多いと思われる中。昼食ったらいきなり試験とか。先生らは楽そうだったが……って、この試験絶対どこかの業者のやつだから先生ら楽してないか?気のせい?
でもホント。なんでこんなところまで来て試験だったのか?謎である。
そんな感じで山奥で試験という謎な状況のまま夕方になった俺たち。本当に夕方になってしまった。やっぱこの学校いろいろとおかしいわと。改めて思っていると。
「おーい。早く用紙集めろー。全部だぞー。全部。勝手に持ち帰るなよー」
今は試験問題やら回収中。
問題は各自が持ち帰るとか思っていたら違った。全部回収だった。荷物が増えないのはいい事か。
そして試験終了後は――。
「よーし、各自一度部屋戻れー。しばらく自由時間な。あっ、暴れるなよー」
とりあえず自由時間らしい。周りが一気にざわざわ。そして人が動き出した。
とっとと部屋に戻っていく生徒も結構居る。窓際ではなんかもう集まって愚痴の言い合いが始まっていたり。とにかく一気に賑やかになった。
よし、俺はとっとと部屋に戻る方を選ぼう。
ここに居てもだからな。それに俺は1人部屋とかいうある意味最高の状況だし。1人なら周りを気にせずくつろげる。めっちゃいいじゃん。ということで俺は部屋に戻ったのだが。
戻ったんだよ。で、予定通りベッドに寝転んで次の指示までくつろいでいようと思ったら……。
――コンコン。
「松尾ー。居るか?」
コンコン。
「へっ、あ――はい。居ます」
いきなり担任の先生が訪問してくるとか誰が予想したことか。
そんなこと予想できるかよ。俺なんかやらかした?まさか試験中の愚痴が全部漏れていた?とか一瞬焦ったよ。マジで。
「1人だが問題ないか?」
「えっと……現状は大丈夫ですね」
御覧の通りくつろいでいる。
「ならよかった。1人だからな。誰か連れ込んでいるんじゃないかとな」
担任の先生が笑いながらそんなことを言った。
「ないです。むしろ結構平和な状況です」
「そりゃよかったわ。いやー、まさか1人の部屋ができるとか思ってもみなかったからな。寂しくて泣いているんじゃないかとな」
「先生俺に対してどんなイメージを?」
「物静かでクール!で、すぐ風邪ひく。もしかしたら寂しがり屋かと今までは思っていた」
「……」
なんでうちの担任はこんなに決め顔でこんなこと言っているのだろうか。もしかして――ちゃんと俺が紹介していないからアピール?なおさら触れたくなくなるのだが。
そうそう、あとこの状況をクラスの人に見られたくない。だって、いきなり何かして先生がやって来たみたいな状況なので。というか先生もテンション高め。
って、うちの担任の先生こんな感じだったな。いつも通りというやつか。
個人的には図書の楚原先生だと大変うれしかったのだが……あいにく楚原先生は図書担当のみ。仕方ないか。でも担任の先生も接しにくい先生ではないので、良しか。とか先生と話しつつ思っている俺だった。
「まあなんかあったら言いに来いよ」
「特に何もないと思います」
「それは助かる見回りするところが減るからな」
「……」
そんなことを先生が行っていると――。
「……ぎゃははは」
バンバンバン。
――ドンドンドン。
近くの部屋だろう……地響き。とまでは行かないが、大変賑やか。プロレス?でもしているのだろうか。ドタバタが響いてきた。
「あー、どこだよ。もー。暴れているのは――じゃ、松尾。大人しく頼むな」
「……わかりました」
はい、担任の先生退室。俺一人に戻る。そして少しして――。
「おい!誰だ!暴れるな言っただろうが!仕事増やすな!」
……先生も大変そうだ。2泊3日……先生らもかなり体力が要りそうだな。間違いない。
俺はそんなことを思いつつ再度横になった。そしてスマホを見つつ。あっ、ちなみにスマホとか持ち込み可である。その他必要ないだろう。というものは持ってくるなとか書いてあったが。基本持ち込みできない物はないらしい。自由である。さすが。やっぱりいろいろゆるゆるな学校だと思う。
それから少し俺がくつろいでいると、スピーカーから先生の声が聞こえてきた。
集合要請である。
放送後、再度食堂に集められた俺たち。何があるかって?もちろん――晩御飯である。
それだけ。いや、ホント午後は実力テストとかいうアホなことで時間を使ったのでもう晩御飯の時間である。その後の予定も今説明があったが。風呂入って21時までには消灯で寝ろと。
「いやいや、先生早すぎだから!」
「フリータイムは?」
そんな声が近くから聞こえていた。そりゃみんなで夜を過ごすんだからいろいろ考えてきた人も居るだろうが。
「とっと寝ろ!」
と、今1人の先生がマイクで言っていた。さすがにそうは自由にさせないか。とか思いつつ。
「ご飯は順番に取っていけよー。で、食った人からもう風呂行っていいからなー、あっ、先生風呂場の方お願いします」
先生らは先生らでいろいろ担当があるらしく大変そうだ。ちなみに風呂担当はうちの担任の先生らしく。食堂からすぐに出て行った。ちなみにもちろん女性教諭の人もうちの担任と話しながら出て行った。ホント先生らも大変そうだ。
「……大変なこっちゃ」
俺はそんなことを思いつつ。待つ。待っている。昼と同じでまあそこそこ静かなメンツが集まっていた机のところに来たので俺の周りは静か。こういう静かさも大切だろ。さすがに2回目というか昼も同じ集まり?みたいな感じだったからか。無言とか言うことはなく。そこそこ会話は聞こえてくるが――ってもしかして無言なのは俺だけか?って、俺だけ何か気が付いたら1人だな。
……まあいいか。特に問題ではないし。
それからしばらくして――。
晩御飯は俺は遅い組。最後の方に並びに行ったので食堂を出るのも当たり前だが最後の方になっていた。予定通りと言えば予定通りだ。
早く食べても多分風呂場は詰まっているだろうからな。なんかとっとと食べて風呂場に向かうやつが結構いたので。あれかな?ちょっとでも早く全部終わらして騒ぐ的な。俺には関係ない事だ。
そのため結構ゆっくり食べていたから食堂ももう数えるくらいの人しか居ない。っか、よくよく見たら。食堂担当の人とすでに仲良くなったのか話している生徒も数人。何というか。人それぞれというのか。いろいろな人がいますね。うちの学校。とか思いつつ。食堂を出ようとしたら。
「あっ、松尾君だ」
「—―うん?あー、結崎」
「ちょっとぶりー」
「結崎もまだ居たんだな」
「うん。今食べ終えたところ」
俺が食器を返しに行くとちょうど後ろから結崎が同じように食器を持ってこちらにやって来た。ちなみに……1人っぽいな。周りには結崎のいつもいるメンバーは居ない。
「結崎いつものお仲間さんは?」
「もうみんな食べて部屋に行っちゃった」
「……見捨てられた?」
「いやいや、そんなことないよ。ちょっと私食堂に来るのが遅かったから先に帰ってもらったんだ。待たせるの悪いからね」
「あー、もしかして室長のお仕事的な?」
「そうそう。ちょっとね」
「大変なことで」
「まあそれがあったからちょうどよかったけど――」
少し疲れたような表情を一瞬だけ結崎がした気がした。
「——うん?」
「あっ、なんでもないなんでもない。あっ、ごちそうさまでしたー」
なんか引っかかることを結崎は言っていた気がするが。俺が聞く前に食器を食堂担当のおばちゃんに渡してお礼を言っていたので何か聞くタイミングがなくなった。
「ごちそうさまです」
結崎の後に俺もおばちゃんに食器を返した。その間に結崎は「じゃ、またねー」と結崎は部屋に帰っていった。すると……。
「あんたあんた」
「—―えっ?俺ですか?」
今日は生徒以外の人からよく話しかけられる日だ。まさか食堂のおばちゃんに話しかけられるとは思ってもいなかったが。
「なんでしょうか……?」
次は俺何しちゃった?と警戒しつつ返事をすると――。
「あんた、さっきのかわい子ちゃん彼女さんかい?」
「違います」
即答である。
何をこのおばちゃんはいきなり言い出すのだろうか。どこをどう見たらさっきの少し会話していただけでそんな感じに見えるのだろうか――全くわからん。
「そうなのかい?まあでも仲良しさんみたいだったから、ちゃんと気にしてやんなさいよ?」
「——へっ?」
「あの子。全然食べてないじゃないの」
「えっと……うん?」
食堂のおばちゃんは何を言っているのだろうか?と、ちょっと頭の中を整理。あの子――そりゃ結崎の事か。
「あの子ね。最後に来て、あんまりお腹空いてなかったのか。少ししか持って行かなくてね。あっ、あれかい?今どきの子は小食とか。ダイエットなのかい?」
「いや――うーん」
おばちゃん悪い。俺そこまで結崎の事知らないわ。
「まあ、でも……体型維持とかですかね?」
とりあえず適当に話して俺は食堂を後にした。
――ちなみに正確に言うと10分ほどはおばちゃんに捕まったのだが。詳しく書くような楽しい話はしていない。最近の若い娘について何故か話していた気がする。完全におばちゃん聞く相手を間違っていた。
最後はどうやってここから脱出するかで――『風呂の時間があるので……』ということで何とか食堂から抜けてきたところである。
部屋に戻ってきた俺は完全に出遅れた。すでに20時45分。とっとと風呂に行かないと先生になんか言われそうなので、俺は荷物を持って風呂場へとちょっと急いで……気持ち急いで向かった。
その後の話を簡単に言えば……風呂入るだけ。
ちなみに風呂場はもう少なかったので、楽だった。風呂を出たころには21時過ぎていたが特に先生にもなにも言われず。というか消灯とかされなかったしな。
それから普通に部屋に戻ってきたら。しばらくは隣というか。この階。男子が使っている階が結構うるさくて、何度か先生の叫び声?怒鳴り声?が聞こえていて21時30くらいかな?突然部屋が真っ暗になりましたとさ。ホント突然。
真っ暗になったら特にすることはない。というか。部屋にも電気のスイッチがあるので消灯後も電気をつけれるというね。
カチッと――はい。つきませんでした。あれか。完全に元から消されたというやつか。ということで俺は大人しく寝ることに。
ちなみに周りはしばらくうるさかったので横になってから起きていた気がする。とりあえずこんな感じで1日目が終了した。
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