第3話 体調不良

 自主規制多発警報?から数分後。何とか。何とか俺は耐えていた。


 俺頑張ったよ。誰か褒めて。めっちゃ褒めて。自主規制2人目。とかにはならなかったが……気分は最悪だ。この臭いというのか。今でも油断したら……自主規制になるかもしれない。自主規制注意報とでもしておこうか。


 状況に関して、あんまりこのことを言うと、そこに居るクラスメイトが……なので、我慢する。俺は大人だ。うん。あー……しんどい。めっちゃきつい。


 人生で初めて女子生徒に押し倒された俺。そして、自主規制。どんな経験だよ。


 結崎。とりあえずできる範囲でちゃんと自主規制は出したからな。もしかしたら自主規制祭りになっていた可能性もあるが……今のところ自主規制の使用は最小限だったはず……多分。いや――多発したか。


 ――あれからの事を話すと、すぐに運転手の楚原そはらさんがこちらの惨事に気が付いて、俺たちのところにやってきてくれたが……なんかすごいことになっていてごめんなさい。と、とりあえず俺はこころの中で謝っておいた。

 いや、あの時はですね。声をだすだけでもヤバそうだったので、とりあえず耐えるに徹した俺でした。


 ちなみに、結崎はというと……一応。自主規制で楽にはなったのか……でも、なんか大変なことをしてしまった。というのはわかっているらしく。駅のホームの隅っこで先ほどから座り込んでいる。というか。俺が『……隅っこに座ってろ』と、頑張って言ったから、今の状況になっているのか。一応だが。結崎はちゃんと俺の言うことを聞いてくれた。ここで――いう事聞いてくれなかったら大変だったが。結崎大変大人しく?素直?に従ってくれた。

 ちょっとだけ詳細を追加すると、本当は、俺が押し倒された場所の横で結崎はフリーズ状態だったのだが。そのままでは電車の運行にも影響があるため、とにかく俺はいろいろ自主規制物が付いている服は脱いでから、先ほどの言葉を結崎に言い。電車から結崎を離しただな。

 結崎の方は……まあ少し自主規制をかける必要がある見た目だったが……上半身全部とかの俺から見れば、はるかにマシだろう。俺—―頑張る。頑張っているよ?思い出すと――自主規制注意報だな。


「結崎。とりあえず、大人しくしてろ」

「……」


 俺は再度隅っこに移動させた結崎に声をかけてから、楚原さんが普段は電車の窓などの清掃の時に使っている水道をあけてくれたので、俺はそのホースで頭から水をかぶる。水量が弱いので一気に流し去る。ということはできないが……少しでもきれいな水があるのは嬉しい。これで少しずつでも自主規制を出すことが減るはずだ。今はまだ自主規制注意報継続だがな。


「——えっと……松尾君……?大丈夫かい?」


 ホースで水をかぶっていると楚原さんが微妙に俺と距離をとりつつ声をかけてくれた。適度な距離だな。

 ってか、ホントすみません。俺が謝ることではないはずだが……あの通り。同じクラスの室長様は放心状態ですからね。とりあえず俺が謝っておきます。はい。いろいろごめんなさい。ホームもこのあと、バケツで水運んで流しておきます。


「大丈夫です。気合です。はい。後でホームとか掃除しておきます。楚原さんもう出発の時間ですよね?」

「あ、ああ。ホント大丈夫かい?」

「大丈夫です。最悪—―ばあちゃんとか呼びますから。あっ、水道だけしばらく借ります。使ったらこのままで大丈夫ですか?どっかに連絡とかした方がいいですか?」

「ああ、大丈夫。俺もまだ今日は何回か田園駅には来るから。片付けておくよ」


 それからは楚原さんと少し話して、その後すぐに楚原さんは結崎に何にか声をかけてから、運転室へ移動していった。そして現在定刻より数分遅れている折り返しの大学前行きの電車の準備を開始していた。

 それから準備ができたのか電車が数分遅れで田園駅を出発していったのだった。


 ちなみに俺は電車を見送りつつまだ頭から水をかぶっている。冬じゃなくてよかった。ちょっとまだ冷たいけど。とりあえず、しばらく水を浴びていた俺。その間も結崎は……放心状態ですかね。固まっているな。


 それから俺は一通り綺麗に――なったはず。なったということにしておこう。冷たいが。

 その後俺は持っていた体操着に着替えた。あの時取りに戻った俺ナイスだな。にしても――身体が冷たいが……仕方ない。水かぶっていたからな。

 俺はさっと着替えてから結崎のところへ……って、Uターン。まずホームの自主規制をなくしておこう。あのままでは自主規制がまた表示されることになってしまうからな。掃除掃除だ。


 俺は水道のところにあったバケツに水を汲んで……。


 バシャー。


 と、線路の方に水を流した。ちなみにほとんど俺の制服が吸収したようで……自主規制物は少なかったのであっという間にホームの方は流れていった。


 その後に俺は結崎のところへ行き声をかけた。


「……結崎。立てるか?」

「—―——その――ごめんなさい」


 するとクラスの時には聞かないめっちゃ暗い声。ちょっと震えている感じの小さな声が聞こえてきた。って、本当に小さな声だった。危うき聞き逃すところだった。


「えっと――水道あっちにあるから。立てるか?」

「……うん、大丈夫」


 再度小さな声で返事をしつつ結崎は立ちあがる。ふらふらだが――多分大丈夫?


「じゃ、ちょっと洗え。冷たいかもしれないが、それは我慢で」

「……ありがとう」


 結崎と話しつつの俺。なんか調子が狂うというか……教室のあのハキハキした。室長様の雰囲気が全くないので……どうやって接したらいいんだよ。という状態なのだが……とりあえず。いつまでもクラスメイトの事を言うたびに自主規制が出てくると、なので水道のところへと結崎を連れて行く。


 一応自主規制。があったため。体調不良?は疑っていたので、途中で倒れられたりしたら。なので、結崎のそばに付いていたが……今のところ大丈夫そうだった。


 俺は再度ホームの確認だけしてから、再び結崎のもとへ戻る。


「大丈夫か?」

「……ちょっと楽になった――かな」

「うん。もう少しで電車が来るが……って、まあ、濡れてるから――俺の家近いから来るか?ばあちゃん居るし。クラスメイトが体調不良やらで連れて来たとか言えば世話好きだからしてくれると思うし」

「……う、うん。今は電車は乗れないかも――だから」

「じゃ、歩けるか?数分だから。俺もちゃんと着替えたいし」


 それから俺は水道やらバケツなど借りた物は元の場所に戻してから。俺と結崎は田園駅を出た。やっと出ただな。

 

 ◆


 にしても、この帰り道。家への道をクラスメイトと歩くとは思ってもいなかったな。


 現在結崎は元気なさげ?な感じで俺の後ろをついてきていた。

 ちなみに結崎の荷物は俺が持っている。にしてもホント。クラスでの明るい室長様はどこへいったのだろうか。そりゃあんなことがあったら……無理か。


「そういえばさ、結崎」

「—―なに?」

「俺の事わかるか?」

「……松尾君?」

「よかった。そこは認知されていたか」


 実はちょっと心配していた。

 もしかして、結崎の事を俺は知っているが。結崎は俺の事を知らないのではないだろうかとか思っていたから。うんうん。とりあえずよかったよかった。


「席—―前だから、そりゃわかる――」

「なら、自己紹介はいいか」


 少し結崎と話しつつ歩くと、俺の家へと到着した。


 俺の家というか。じいちゃんばあちゃんと住んで居る家なのだが。そこは平屋。ボロッボロッの家である。

 家の中は――そこそこ綺麗かと思うが。ばあちゃんが掃除やらはしっかり毎日しているからな。まあまだ大丈夫という感じだ。地震が来たら……潰れるかもしれないが……今はそのことを考える必要はないかな?


 とりあえず、の玄関に入り。


「ばあちゃん。タオル持って来て!」


 と叫んでおいてから。俺は結崎に声をかける。


「結崎。入っていいぞ?」

「……お、お邪魔します」


 すると結崎が再度小さな小さな声で――って、なんか本当に学校と雰囲気が違うというか大人しすぎる結崎とでもいうのか。別人に見えてきたよ。


「守や。どうしたんじゃ、大声出して……まあまあ、これはこれは、お客さんかい?」


 俺が結崎の違和感?違いに戸惑っているとばあちゃんが登場した。はい、うちのばあちゃんは元気です。年齢不詳とか自分で毎回いうようなお元気な方です。多分……天皇陛下さん……じゃなくて。上皇さん?と、一緒くらいの生まれだった気がするのだが――俺から言うことではないな。気になる人は本人にどうぞだな。言わないと思うが――。


「悪いばあちゃん。クラスメイトなんだけどさ。電車で会ったら体調悪いとか言っててさ」

「あらま、誰さんかしら?」

「……結崎です。突然すみません」


 ボソボソと答える結崎。いやいやホントあなた室長様?ニセモノ?双子だった?とか俺が思っていると――ばあちゃんの行動は早かった。


「結崎さん。いいのいいの。ささっ、入って入って」

「ばあちゃん頼む。俺洗濯したいから」

「はいよ。結崎さんこっちこっち」

「あっ、はい――すみません」


 すぐにばあちゃんが結崎を室内へ――って、俺結崎のカバン持ったままだ。


「結崎。これカバン」

「あっ、ありがとう」


 結崎に荷物を渡してから俺は外へ出る。

 そうそう先ほど違和感というか『じいちゃんばあちゃん側の玄関』と俺は言ったと思うが。今結崎を連れてきたのは、じいちゃんばあちゃんが暮らしている平屋の玄関だ。俺はここで食事とかは一緒にしているが。それ以外は庭にある……なんていうのかな?俺の部屋?というか。小屋?で生活をしている。


 元々はじいちゃんの趣味部屋だったが。俺がこちらに来た時に、じいちゃんが1人になれる部屋があった方がいいということで俺にくれた。

 はじめは大丈夫やらと俺は言ったのだが。しばらく一緒に生活をして、結果として、じいちゃんの言っていたことは正解だった。じいちゃんばあちゃんとの生活サイクルが違うのですぐに俺の部屋へと変わった。休みの日とか寝る時間起きる時間が全く違うんでね。


 ちなみに、室内は8畳くらいかな?1人なのでこれで十分だ。外から見るとボロだが。中はそこそこ綺麗。じいちゃんが使っている時に綺麗にしたとかで。じいちゃんばあちゃんの家は全部畳なのだが。この俺の使っている小屋はフローリングだったりする。なんかじいちゃんがそうしたらしい。理由は――聞いてないな。今はいいか。


 俺は自分の部屋に入り、カバンなどを置いてから。

 これは昔ながらというのか。この家は洗濯機と風呂場、洗面所、トイレは外にあるため。はい、外にあります。雨の日とか大変。うん。あと雪も降ったらさらに大変だな。っか、冬場大変だな。


 とりあえず外にある洗濯機にいろいろ自主規制の物を入れてまわす。制服は……洗濯機で洗っていいのかがわからなかったので、とりあえず、手洗いで洗うことに。

 にしても、まさか入学してこんなに早く制服を洗うことになるとは思ってもなかった。


 とりあえず、自主規制。を使わなくていいようにしようと俺はしばらく洗濯物と格闘するのだった。

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