第2話 出会い
♪♪~
「はい。席に戻れー。チャイムなったぞ。スマホもしまえよー。そこ堂々と使う雰囲気だすなー。スマホしまえー。あー、あと提出物準備しとけよー。集めるからな。だから何で普通にスマホ使う雰囲気で持ってるんだー」
チャイムが鳴り。担任の先生が教室へと入ってくる。
窓際やらで集まっていたグループや。その他のところで集まっていた数人がバタバタと自分の席に戻る。のんびり戻る人も居るがね。
ちなみに、俺の席の後ろには、先ほどクラスの中心に居たというのか。あの目立つ数人のグループの中に居た。クラスの室長様。
って、そういえば、俺は自分の自己紹介をしたか?鉄道の事をなんか語った記憶はあるが――重要な事してなくないか?した?いや、してない?
とりあえず名前くらい言っておこう。って今言ったか。でももう一度――。
そして、俺が松尾なので、その後には『み、む、め、も、や、ゆ、よ』と続くのだが。このクラスには俺の松尾の後は。結崎まで生徒が居なかった。村上。とか、森。とかの苗字の人が居れば、俺と結崎の間に他の人が居たかもしれないが。今のクラスでは誰も居なかった。
俺の自己紹介をしたところで、話を戻そう。室長。という言葉で通じるかはわからないが……俺の学校ではクラスの代表者を室長と言っている。
ちなみに、中学でも室長は使っていたな。普通はなんていうんだろうか?室長ではなく……学級委員?とか言うのかもしれないが。うちの学校は室長と言っている。
そして入学式が終わりすぐにあったクラスの役員などを決める時間に。誰よりも早く立候補したのが俺の席の後ろに居た彼女。
いやね、初めての人が多いあの雰囲気の時にいきなり後ろから声がしたら……俺はめっちゃ驚きました。はい。かなり。そして、他に室長に立候補する人が居なかったため。そのまますんなり結崎がうちのクラスの室長に決まったのだが……うん。個人的には彼女。結崎が室長ということにその時は不安もあった……何故なら――。
いや……人を見た目で判断してはいけないと聞くことがあるが……。
俺の後ろに居る方。結崎はどんな生徒かと聞かれれば、多分クラスのほとんどが『めっちゃ派手な人』と答えると思う。
うちの学校は校則がかなり緩いことで有名らしく、髪型やらは特に何も言われない。男子でも金髪もいるし。なんか紫やら赤も居たような……あと女子でも茶髪やらその他色に髪を染めている生徒は普通に何人も居る。そして俺の後ろに居る結崎もその1人。明るめの茶髪で制服も着崩していると言えばいいのか――まあ真面目。というイメージとはほど遠い雰囲気なので、ちょっとだけ俺は心配があったのだが……。
室長になってからの結崎は、クラスをまとめるのも上手かった。この初めて会う人がほとんどという中で、その後先生からその他の役職などを決めるのを任されたが明るい雰囲気でどんどん進めていき。あっという間に役職決めも終わった。
そして、翌日にあった実力テストも、これはちょうど昨日返却があったが。クラストップは結崎だったらしい。なんか見た目と合わないというか。これが人を見た目で判断するなという事なのか。とね。1週間ほどで、結崎に対する不安?みたいなのは、まあなくなったのだが。やっぱり俺とは接点がないタイプの人らしい。1週間でそれはわかったな。
1週間しないうちに、結崎グループというのか。結崎と似たような。というか派手な男女。美男美女が集まったのが先ほどのグループである。
だからなんだ。と、言うかもしれないが。いやね、なんか落ち着かないんだよ俺が。俺は静かにのんびりしたい派なので、この結崎のグループとは多分一番合わない人間のはず。だが席が結崎の前のためプレッシャーというのか。結崎たちは俺のことなど気にもしてないと思うがね。
休み時間になると結崎の周りには、結崎グループの……名前なんだっけ。男子が、
話を戻して。それで、最近では他のクラスの人も来ることがあるか。まあ毎時間の休み時間。俺は居心地が大変悪い。
そしてお昼休みになると、俺は自分の席から追い出される側。結崎を中心にお昼を食べるからか。ちょっと俺が席をトイレなどで離れていたら勝手に使われているレベルである。高校に入学して3日目の時はまだ自分の席で食べたが。その後4日目以降は、中庭や校舎の裏にある階段やらでのんびりすることにしていた。まあクラスの他の人と食べるというのも別にできなくはないのだが……。
俺は本をね。食後とかには読みたいもので……自然と1人になれて静かなところを探していたのだった。
そんな感じでちょっと席がハズレな感じだが。高校に入学して2週間目に突入したところだ。
そして、いろいろやっていると時間はどんどん過ぎていき。今日も授業は終わっていった。この後は放課後。今週は部活動の体験日?となっているが。俺は部活動に入る予定は今のところない。
俺は授業が終われば帰宅する……ではなく。既に決まってることがあるので、図書室へと向かう。俺は図書委員となっていたのでね。
ちなみに図書委員は中学の頃からしていたから……というか。小学校でもしていたか。理由は――本が好きだから。いや、興味がない他の委員会などをするくらいなら――と。図書委員ばかりずっと選んでいる。
少し前に、結崎が室長に立候補した。と、言ったが。実は俺もその後立候補しているというね。図書委員に。
図書委員には立候補者がはじめ誰も居なかった。高校では誰もやる人が居なければ……とかのレベルで思っていたのだが。本当に居なかったため。このままだと、じゃんけんやらになる――という雰囲気の時に、俺が立候補した。もちろんだが他に立候補者が居なかったので、すんなりそのまま決まった。
そして、先週末早速委員会があり。当番やらが決まった。というか。この学校はホントに自由だった。委員会も一応名前だけある。みたいな感じの生徒が多いのか。先週委員会に出てびっくりしたな。
確か中学の時は、当番制で、毎日というのはなかったのだが――ここは違った。図書委員になった生徒が集まり。当番を決めることになったのだが。
「俺放課後は部活行くので無理です」
「私昼休みだけならできます」
「放課後は難しいですね」
「イベントの時とかだけ参加します。あっ、イラストは自信ありますよ」
そんな声ばかりで、昼休みはあっという間に担当が決まっていったのだが……放課後が誰もやる人が居なかった。でもそれがいけないことではないらしく。図書の担当の先生も『仕方ないな』見たいな感じだったのが。ちょっと驚いたが。
そんな中、俺は部活もしてないし。放課後とっとと帰るのもなんだか……だったので。
「……あの放課後やりますよ?」
とか、みんなの前で言ったのだった。確かの時は先輩もいる空間だったが。過去の俺すごいわ。よく言った。
それから数分もしないうちに。委員会は終了し。今学期では当面の間。俺がずっと1人で放課後図書室の当番をすることになった。
望んでなったのだが。まあこんなにすんなり決まるとは思わなかったな。
「——失礼します」
先週末の事をいろいろ思い出していたら、俺は図書室に到着していた。小さめの声で挨拶しつつ中へと入る。今のところ……図書室内は図書担当の先生のみ。生徒は0だった。
「あっ、松尾君。よろしくねー」
「はい」
俺が図書室に入ってきたことに気が付いた図書の先生が俺のところへとやってきた。
ちなみに、すでに図書委員の仕事は先週の委員会で聞いている。基本、本の貸し借りの管理と。返却された本を本棚に戻すとか。あと、ちょっとおすすめの本の紹介のチラシを作ったりするらしい。
一応俺は小中と図書委員をしてきたから、あまり変わりないかな?とか思ったが。はじめてやる人は……仕事が多いとか思うかもしれない。あと、とか。っていうのがね。いろいろ増える可能性亜があるんだよ。
「松尾君は本当に放課後、毎日大丈夫なの?」
すると、図書の先生が……って、図書の先生っていう言い方は何か変か。今俺の前に立っている先生は、
確かに制服を着たら生徒と区別がつかないかもしれないが……って今はいいか。
「大丈夫ですよ。部活もやりたいものがないので、それに本に囲まれている方が好きですから」
「もし用事とかがあったら言ってね?先生が代わりに受付とかもするから」
「わかりました。で、今日は何をしたら……?」
俺が楚原先生に今日の作業を確認すると顎に手を当てつつ。少し楚原先生は周りを見てから――。
「とりあえず――返却された本を本棚に戻してくれると助かるかな。先生ちょっと裏ですることがあるから」
今日のやること決定。
「わかりました」
「よろしくね。松尾君」
「はい」
俺が返事をすると、背の小さな……これは余計か。えっと、学生みたいな……うーん。これも違う気がする。なんて言ったらいいのだろうか。
って、普通にか。楚原先生は生徒立ち入り禁止ゾーンへ入っていったのだった。そしてその際俺はふと――今更と言われるかもしれないが。
「——あれ?そういえば、楚原って……運転手さんと同じ苗字だな」
とか思いつつ。俺は昼休みなどに返却されたであろう本を元の場所に戻していったのだった。
◆
基本放課後は来る生徒がほとんど普段はいないらしく。今日は数人来ただけだ。本の貸し出し作業はなかった。下校時間になるまで俺はずっと本の整理をしていた。これはこれで……楽しい。いろいろな本触れるのでね。
♪♪~
するとチャイムが聞こえてきた。
「——お疲れ様。松尾君。戸締りは先生がするからもう大丈夫よ」
チャイムが鳴ると楚原先生が俺のところにやってきて声をかけてくれた。結局先生はずっと生徒立ち入り禁止コーナーで籠っていた『いろいろやることが先生もあるんだろうな』と俺は思いつつ。
「わかりました。じゃ、さようなら」
「はい。さようなら」
挨拶をして図書室を――の前に来た時にふと気が付いたことを楚原先生に聞いてみた。
「—―あっ、楚原先生」
「うん?何?松尾君?」
「ちょっと気になったから今聞いていいですか?」
「なにかな?」
「楚原先生って、旦那さんが鉄道の関係者。運転手だったりしますか?」
よくよく会う人の顔を思い浮かべつつ俺が聞いてみると――。
「あら、あの人を知ってるの?松尾君」
あたりだったらしい。
「いや、知っているというか……」
すると、俺が理由をいうより先に楚原先生がとあることに気が付いたらしい。
「あー、松尾君って。あの田園駅のところに住んで居る松尾さんところの――?」
「あ、そうです」
俺の方が有名だった――。
「あの人が言ってたわ。松尾さんところが利用してくれないと。いつも空気輸送してる。って、笑いながらね」
「ははは……さすがに毎時間は乗れませんが」
多分だが空気輸送の方が圧倒的に多いはずだ。
「でも、そうかそうか。気が付かなかった。あの人にも話しておくわね」
……何を話しておくんだろうと、俺は思ったが。既に下校時間になっているので、再度先生に挨拶をして図書室を後にした。
下校時間になると。大学前方面のホームが人であふれている。これはいつもの光景。なのだが……駅まで来てから俺は教室に戻っていた。何故かって?授業で使った体操着を忘れたことに気がついたためだ『あっちのホームはいつも満員だな』とか思いつつ。ふと、部活帰りの人の姿を見ていて思い出した。
結局学校にUターンすることになった俺は1本電車が遅くなった。でも特に急いでないので問題はない。
ちなみに下校時間を過ぎていたため教室の鍵が閉められていた。そのため職員室に寄ってから俺は教室へ。それから体操着を持って、俺は再度職員室に鍵を返しに行ってからまた駅へと向かった。ちょっと時間がかかったが。次の電車には余裕。ってか。行ったり来たりしていたのでちょうどいい時間になったともいえる。
高校前駅に戻って来ると、大学前方面の電車が発車した後なのか。反対側ホームは先ほどよりかは人が少なくなっていた。
ちなみに……俺が乗る田園方面は……3人だ。現在のところ3人しか待っていない。先週もだったが。基本田園方面に乗って行く人はこんな感じ。
そして、終点までは乗って行く人が俺以外に居ない。朝も言った気がするが。稀に鉄道ファンの人とかが居る場合もあるが。この時間ではまあないだろう。
俺がそんなことを思っていると、遠くから踏切の音が聞こえてきて……2両編成の電車がホームに入ってきた。
大学前からも数人お客さんが乗ってきていたが。満員では全くない。俺は後ろの車両に乗ったが。現在4人しかお客さんは乗っていない。狭い車内とは言え。この人数なら向かい合って座る必要がない為。車内はかなりゆとりがある。足を組んで前の座席にすこし触れそうになるが……問題なしだ。
ちなみに――中には、普通に靴を脱いで反対側に足を置いている人も居るが……俺はそんなことはしない。
電車が発車して、公民館前駅へ。当たり前の光景だが。公民館前駅に到着すると俺の乗っている車両はお客さんが俺だけになった。そして行きと同じで公民館前駅を発車すると電車はすぐにトンネルへと入る。
正面の窓に自分が写る。ほんといつもの事だが。貸し切り状態だ。電車はそのまま走り。トンネルを抜けると。田園駅に到着する。
ドアが開くと俺はホームに降りる。もちろんだが俺しか降りない。
俺はいつも通り改札の方に向かって歩く。先頭車両の運転席では……あっ、あれは楚原さんだな。とか俺が思いつつ挨拶をしようとしたのだが。
その前に――。
「—―うん?」
普段は俺以外にこの駅を利用する人はいない。俺以外にこの田園駅に人が居るのは先ほども触れたが写真家や。鉄道ファンの方だと思うのだが……今俺の視線に入って来たのは、先頭車両のドア付近で同じ制服を着た女子生徒が寝ている?光景だった。
「……寝過ごしたか?」
俺はそんなことをつぶやきつつ。楚原さんに挨拶をする前に女子生徒を起こすことにした。よほど熟睡中なのか。明るめの茶髪。頭のてっぺんしかこちらには見えていない。完全に椅子に座りながらお辞儀をしているような感じで寝ているらしい。
俺は先頭車両に1歩足を踏み込みながら。
「——あの、もう終点着きましたよ?」
女子生徒に声をかけると……すぐに頭が動いた。どうやら俺の声はすぐに聞こえた……とか思っていたら。
「……気持ち悪い」
「—―——はい?」
これは予想していなかった。
頭をゆっくりあげてきた女子生徒に即気持ち悪いと俺は言われた。
まさか寝過ごした相手に声をかけたら『気持ち悪い』と言われるとは夢にも思っていなかった。
普通は声をかけたら。『——すみません。ありがとうございます』とか言われるかと思っていたが。ちなみに俺ならそういうな。って、俺の場合楚原さん、または他の運転手の人に起こしてもらうことになるだろうが――。
って、それはおいておき『何?今どきの女子は知らない男子が声をかけただけで、気持ち悪いとか言うのだろうか?』って、ちょっと俺は珍しく怒り。とともに……なんか心にグサッときて――明日から俺寝込みそう。みたいな。いろいろな感情が……と、なっていたのだが――その感情はすぐに消えた。何故かというと、待て待てという状況だったからだ。
ゆっくりと女子生徒が顔をあげたので、やっと顔が見えたのだが――こいつ。結崎じゃんってなったからだ。あと――なんでそんなに顔色が悪いのですかね?ということで、俺のいろいろな感情は引っ込んだ。
あっ、でも引っ込んだと言っても――少しだけ。ほんの少しだけ――そんなにクラスメイトでも普段接しない人に声をかけられるの嫌なんだろうか。それとも知らない男子から声をかけられたくない?ってさすがに席が前後だから認知はされているよね?まさかされてない――?という気持ちはもちろん残っていたっが――これもすぐ消えることになった。と先に言っておこう。
「……」
結崎ということを理解した俺は今固まっていた。
目の前には、俺に対して気持ち悪いと言った結崎が……なんていうのか……不機嫌?いや、違うな。これは……明らかに体調が悪いやつだな。などと解釈していると――。
「……やばっ……」
「えっ?」
すると、結崎は自分の隣に置いてあったカバンも持たずに口をおさえつつ。前かがみ?の状態でこちらに……って、俺『気持ち悪い』の意味をココでちゃんと理解しましたと言っておこう。
「気持ち悪いって――そういう事!?」
俺が先ほど結崎が言ったことを理解したと同時位だったと思う。俺はドア付近に一歩足を踏み入れる形で結崎に声をかけていた。座席に座っていた結崎は外に出たくてこちらに来た。というか猪突猛進?
つまり俺が邪魔になりますよね。小さい電車。もちろんドアも小さいですから。はい。超邪魔なところに居た俺です。
本来なら止まる。声をかけて俺が移動するのを待つなどの選択肢になるだろうが――今の結崎には、俺に対して『そこをどいてくれ』などと言うことが出来なかったらしく。もしかしたら俺がいる事すら理解していなかったかもしれない。
――ドン。
という効果音とともにというか。ドア付近に居た俺は結崎にタックルされる形でホームに押し倒された。痛いよ。地味に痛いよ。って、状況的には結崎に馬乗りにされた形か。って、腰強打です。痛い。
ちなみに普通の状況なら、ラッキー?な状態かもしれない。女子生徒が馬乗りしてくるとかいう状況はなかなか普通の男子にはないのでね。でも――今の俺全く嬉しくない状況だった。だって……。
俺にのしかかってきた結崎は。次の瞬間……「……ぅっ」とか言う声とともに――。
(自主規制中)
(自主規制継続中)
(自主規制中しばらくお待ちください……お待ちください)
(一応クラスメイトの評価というか。うん、いろいろ今後のためにも自主規制を継続します)
こんな経験は初めてだな。普通。生きている間にこんな経験をする人はいるのだろうか。女子生徒に押し倒されたかと思ったら……次の瞬間。嘔吐されるとはな。俺の顔は便器とかじゃないから!?って、あっ、ごめん結崎。最後に自主規制出し忘れたわ。って、ヤバイ。俺も吐くかも――自主規制自主規制。
これが我がクラスの室長様。結崎ゆえとの出会い?始まり?とりあえず。自主規制。俺も自主規制。
自主規制。多発警報発令。
とりあえず、自主規制いっぱい出しておいてお願い。
しばらく出しておいて――誰か。誰も居ない――あっ。楚原さん居る?ととりあえず自主規制。
自主規制……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます