第87話 国歌

 KOKKAの会場は、他と比べて人が多い。クリケットも盛況だったが、人数差は比べられないほどの人で埋め尽くされている。


「きゃぁぁぁあああああ! ハインツしゃまぁああああ!」

「ちょっと。レオン様が見えないでしょ!」

「あぁん? そっちこそ邪魔してんじゃねぇよ」


 一部治安の悪いところがある。

 近寄らんとこ。


「Erfolg, Deutschland!」

「えふぉるぐ、どいちゅらんど!」


 おおぅ。こちらも斉唱中ですか。

 ってグスタフさん!?


 ぴーぷーぷーぷぷるるる。ぴーぷぴーぷぴーぴーぴー。

 今度はバグパイプの集団!?


 異様な雰囲気を醸し出すこの空間はKOKKA特有の集団だろう。しかも全員に知り合いがいるとは思っていなかった。


「あっちにクイーンナイツが来てますわ!」

「「「きゃー!」」」


 モウカさんの推しはクイーンナイツでしたか。


「よ。ハッチもスコットランド行進曲やらない?」

「遠慮しとく」

「そっか。じゃあまたな」


 ぴーぷぴーぷ。


「ドイツ陣地へ急げ! 我が国は2番手だからぐずぐずしてる時間は無いぞ!」

「「「ヤー」」」


 どこもかしこも騒がしい。

 その中でも日本語で騒ぐ集団が近づいてきた。


「やっべーぞ! 今年のマインドフライは一味違う」

「おぉぉ!」

「まさか、一周まわったのか!?」


 これから歌手が入場するという時に騒がしい。そう思って彼らを見ると、みんなが頭上を指して騒いていでいる。

 指の先を追っていくと、雲に乗ってやってくる一団が見えた。


 じゃう。笙。じょう。シャラン。

 独特の音色を奏で、時折鳴る錫杖の音が心地よい。


 狐面を被り白無垢しろむくを来た人物を中心に、会場のど真ん中へ降り立つと、ざわめきが消え皆一様に狐たちへ視線を集める。


 シャラン。錫杖の音が合図となり、狐の一行が会場の周りを動き出す。そのゆっくりとした一歩に目を奪われ、誰一人として声が出ない。

 錫杖の音に合わせて踊る狐を見続け、一周が終わったところで会場にアナウンスが流れた。


「これより『Neo Earth Terraforming』内初のKOKKAを開きます。最初は開催国の日本から、マインドフライの皆様です」


 みんなが見つめる先にいるのは狐たち。


「みんな良く来てくれたな。楽しんでいってくれぇぇぇ!」

「「「おぉー!」」」

「うおおおおお! ハッチさん! 生リキヤですよ」


 テッケンさんがここまでファンだったとは知らなかった。

 とはいえ、俺もマインドフライは好きだ。

 いざいざ開始という時に、マインドフライ独特のコールがかかる。

 手でキツネを作り観客の心を一つにして叫ぶんだ。


「「「「「「ウィィィィィ!」」」」」」



 _______________


 *残念なお知らせ

 作者に音楽センスが無かったため、音楽パートは消去されました。

 その為、今話は文字数が異様に少なくなっております。

 皆様にここで平にお詫び申し上げます。

 _:(´ཀ`」 ∠):


 ニコニコしたりYOUすれば、色んなアレンジを見つけられました。

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