第4話 ドワーフ村


「ここが初期村か。長閑な村だなぁ」


 あたりを見渡すと、石垣に長屋。

 少し離れた場所に山と洞窟がある。

 鉱山かな?


 そして下を見ると死屍累々。


「助けてぇ」

「動けない」

「なんでこんなちっちゃいんだよ!」

「年齢制限の罠だ……」


 ドワーフの少年少女が多数。中には幼児まで転がっている。

 お前ら注意無視したな。


 村の奥から1人のドワーフがやってくる。


「こんなところで、小童集めたのは誰だ? 遊ぶのは良いが、成人するまで村の外出れないからな。破ったら生産の神の呪いが掛かるから気をつけろよ」


 そう言って去って行った。


「マジかよ!」

「俺あと40年なんだけど?」

「私でも30年あるわ」

「キャラデリしかねーよ……」


「「「ログアウト」」」


 この調子だとエルフも悲惨だろうな。


 すると近くの幼児に声かけられた。


「あなたも未成年ドワ?」


「まだ、そうですドワ」


「はぁ。その見た目でも未成年か。エルフもダメそうだし。どうしよう」


「妖精種が良いならポックルってのがあるみたいですよ?詳しく知らないので何とも言えませんが……」


「ダメもとで調べてみます。ありがとうございました」


 そう言うと消えてった。

 哀愁漂う幼児って違和感半端ねぇな。


 また、ドワーフがやってきて同じことを言っていく。

 これはそういうプログラムなんだな。

 早く離れよう。




 あと2ヶ月は、村から出られないなら、村でやること探さないとな。


 広場から、家々が並ぶ方へ向かっていくと、いくつかの店があった。


 とにかく釣竿を見つけないといけない。

 無ければ、作る必要がある。

 その為にドワーフにしたかったんだ!


 道具屋に入ると、恰幅の良いおばさんがカウンターにいる。


「すみません! 釣竿ありますか?」


「ここじゃ扱ってないねえ」


 品揃えを見てみると、生産用の道具やポーション系しか無い。

 他のゲームでもこういうことはあったが、娯楽系の道具は自作するか、エンドコンテンツになっていたんだよな。


「やっぱりそうかぁ。それなら作るしか無いよな」


 そう言うとポーンという音が鳴る。


「ドワーフならそれが一番だね! よし。主人に教えてあげるように、言ってやろうじゃ無いか」


 フラグがたったか!


「あんた! この子に物作り教えてやってくれよ!」


「ああん? どいつだ」


 顔に傷が入った厳ついドワーフだ。

 睨んだだけで相手を殺せそう。

 それがジィっと見てくるんだからな。

 大人でもチビりそう。


「なんだ。一応鍛冶は持ってんのか。小間使いするなら教えてやっても良いぞ」


「おなしゃす!」


《スキルクエスト:鍛冶修練 開始》


「俺は鍛冶のドーイン。親方って呼べ。お前は?」


「ハーフドワーフのハッチです」


「ハッチだな。さっそくだが、配達行ってくれ」


 そう言って渡されたのが、小さめの木箱。

 だけど、ずっしりと重みを感じる。


「そいつを木工のアルデアに持って行ってくれ。あと言っておくが、ドワーフにハーフもクソもねぇ。わかったら行け」


「は、はい!」


 こえぇ。

 良いこと言ってるんだけど、とにかく顔が怖すぎる。

 ところで、木工のアルデアの家ってどこだろ?


 あそこの人に聞いてみよう。


「すみません。木工のアルデアさんの家ってどこかわかりますか?」


「ちょっとわからないかな。もしかしてプレイヤー?」


「あ。プレイヤーに聞いちゃったのか!」


「PC表記の出し方がわからないからね。区別つかないよね。俺はテッケン」


「俺はハッチ。ハーフドワーフ」


「やっぱりね。俺もハーフドワーフだよ。じゃないと制限厳しいからね。制限解除されてる?」


「あと2ヶ月は残ってるよ。それまで生産上げようと思ってる」


「そっか。成人済みだから、先に村出てると思うけど、よろしくね」


「こっちもよろしく」


 そう言うとフレンド欄に登録するか確認がきた。


「あれ? フレンドきた」


「こっちも。『よろしく』かな? システムの説明が少ないんだよね。何かわかったら教えるよ。そっちもわかったら教えて?」


「うん」


 1人フレンドできたな。

 それより、アルデアさんを探さないと。






 探すのに30分かかってしまった。


「すみませーん! ドーイン親方から配達です!」


「はいはーい。いつもの包丁ね」


 そうして出てきたのは頭1個以上大きな男。

 人族か!

 ハーフドワーフでも、150cm位だからな。

 でっかく見える。


「あれ? 新しい子かな?」


「今度ドーイン親方に教えてもらうハッチです。よろしくお願いします」


「お弟子さんか。木工のアルデンだよ。よろしくね」


 木工か。

 釣竿作れるか聞いてみようかな。


「あの。釣竿って作れますか?」


「作れるけど……」


 と言いながらチラチラ見てくる。


「うーん。今度、木工のやり方教えようか?」


「良いんですか?」


「ドーインさんのお弟子なら、作った方が良いよね。作ってもらったら怒られそうだし」


 確かに怒るかもしれんな。

 そうなると、チビりで済めば良い方だ。


「是非教えてください」


 鍛冶がひと段落ついたら教えてもらうことになった。


《スキルクエスト:木工修練 (待機中)》


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