第40話

何やら熱心に店員に話し掛けられ、眼鏡ニイサンが首を振ったり手を振ったりしている。


これは……




「ナンパされてる最中だね」




アテレコしようかとネイサン青年が言う。


アテレコてあなたそんなお願いします。




「貴方の様なピュアでセクシーな人は初めてだ。その眼鏡を外して瞳を見せて欲しい。観光なのかい? 何処に行くの? 案内するよ。勿論君の大事な人形と弟も一緒で良い。その細い腰を抱き寄せて今すぐ折って何処へも行けない様にして僕の愛と云う名の檻で一生可愛がってあげたい云々……」




先生、質問です。




「はい、ヤギリン君」




彼は、いや、あの方はわたくしには男性に見えるのでありますが、若しくは眼鏡ニイサンを女性だと勘違いされていらっしゃるのでは……?


勘違いなら解いた方が今後の為にも……と云う前に、ネイサン青年は首を横に振った。




「失礼な事言うなよ。恋愛に性別は関係ないだろう」




……そう……ですか。まぁ、性別どころか異種族、有機物無機物関係ない方もいらっしゃいますしね……。


結局カフェの店員の誘いを断り続け、カフェを後にした。


ともすれば追い掛けて来そうな店員を、店長らしき屈強な初老の店員が止め、耳を引っ張って店内に引きずって行く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る