第38話
数日後。
「そんなに気になるなら其の場所に行ってみようよ」
その一言で、眼鏡ニイサンとネイサン青年と一緒に機上の人形になっていた。
夢の内容、建物の内観や人の外見、状況等から地図を広げて、眼鏡ニイサンが指差した「多分此処」だけの情報で行動を起こすのだから、金持ちって怖い。
それだけネイサン青年が眼鏡ニイサンを信頼していると言う事なのだろうが、もしかしたら単に適当な理由で海外旅行がしたいだけなのではないかとも思えない事も無い。
流石に間違う事無く「恐怖! 呪いの悪霊人形!!」と成って居る此の小さな手の痕だらけでは人目が有ると言うので、縫いぐるみの皮を被らされ、前も後ろも解らない状態で恐らく眼鏡ニイサンに抱かれた儘、移動している。
何やら途中「海外の祖母の所へ……」「兄の病気の静養の為に……」「この人形は唯一の拠り所で……」「この人形が無いと……」等と聞こえたが、恐らく何か咎められたのを口八丁で言い包めたに違いない。
終始「タクシーだよ。今から空港に向かうよ」「空港に着いたよ」「お土産屋さんで何か買おうか」「酔い止めを買って貰ったから、あとで分けてあげるね」「手続きするよ」「手荷物検査だよ。ちょっとの間我慢してね」「大丈夫だった?痛くなかった?」と話し掛けて来る眼鏡ニイサンは、間違い無く病気にしか見えなかったであろうし。
そう考えると、此の兄を外に引っ張り出す弟と言うのは、中々に涙を誘う健気な青年を演出出来るとイウモノダ。
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