第36話
「あー……そおっか。話してないんじゃね?」
新しい釘バットの作成をしながら、ネイサン青年が話してくれた。
「お前が燃えてる時な、根性あるなぁと思って見てたんだけど、あれな。悪霊達がワーッてお前ん中入ってったの見てたんだわ」
木製のバットに五寸釘を打ち込み乍なので、聞き取り難い。
「それと、お前、ちょいちょい反応無くなるけど、気付いてる? 多分、其の時に寝てるか夢見てるんだと思うんだけど」
其れには薄々気付いては居りましたとも。
短期の記憶が飛び飛びだったり曖昧だったりしますので。
ワーッてですか。ワーッて。
ワーッて入って来たんですか。
て言うかお久し振りですね、釘バットさん。
「あいつ、二重人格とか言ってたろ。違うんだよね。俺ら双子なの、双子。バシニングツインてやつ。まぁ、元々の身体はあいつのだから、中々出て来れないんだけど」
せっせと釘バットを仕上げ乍、独り言の様に呟く。
「自分の法具は自分の分身だから、自分の手で作る方が良いって言ってるのに、あいつ聞きゃしないんだもんなぁ」
「ぼくはどっちの弟も可愛い弟なんだけどねぇ。兄弟喧嘩出来るのも仲が良い証拠だよねぇ」
間の抜けた台詞で口を挟む眼鏡ニイサン。
無視して此方を完成した釘バットで指し示すネイサン青年(釘バット)。
「其の赤ん坊さ、十中八九、お前の中の悪霊の一匹じゃね?」
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