第34話
大体さぁ……、とネイサン青年が言う。
「大体、この家に居てそんな事になる方がおかしいんだよ」
眼鏡ニイサンの力の影響下で心霊現象が起きて居るのなら其れは
「其れ、夢って事でしょう?」
言葉少なにネイサン青年が言うが、理解出来る。
夢とは、記憶。体験したこと、目にしたものが断片的に表れ、そこに想像や空想が取り込まれ作り上げられる物。
ならば、“誰”の体験した事だと云うのか。
外部の悪意の及ばない結界内に“誰”の意識が入り込んだと言うのか……。
自分自身の、だろうか?
人形になる前の、其の記憶の一部だとでも云うのか。
しかし、明らかに「何者か」の目線では無かった夢の構造に、まるで画面の中の出来事を観賞しているか様な其の感覚であった夢に、自分の体験だとはとてもではないが思えない。
それに、「人形は夢を見るのか?」と言う大問題も残っている。
「だから、ヤギリン。君、忘れているかも知れないけれど、呪いの悪霊人形だからね?」
其の言葉に、そう云えばと思い出す。
否定と反論を繰り返しても、「呪いの悪霊人形」と繰り返すのは何故なのか? ネイサン青年のその言葉の意味は、真意は何だと言うのか?
悪霊は、悪霊と成ってしまった彼等は、一体何処へ消えたと言うのか?
炎に浄化され、転生か天国か地獄かそんな場所へ逝ったのでは無かったとしたら?
何故、自分だけか無事にあの焼却炉から這い出る事が叶ったのか。
あの溶けてくっ付いていた諸々の先輩方は如何成ったのか。
「だから、君、呪いの悪霊人形でしょう?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます