第18話
「また何か悪戯したんでしょう。もう。」
直ぐに息を吹き返した眼鏡の男が、青年を正座させて説教をしている。
「だから、呪いの悪霊人形だって言ったじゃん」
「そんな嘘を言うんじゃ無いよ。呪いの人形が首無しでスクワットなんかするものか」
「悪霊人形の考えてる事なんかわかんないよ」
「何か仕掛けを入れたんだろう? 駄目だよ、まだ仮留めなんだから」
「だから、触んないってば」
「本当に駄目だからね。所でまつ毛は金色と銀色どっちが良いと思う?」
「何でも良いよもう」
青年は面倒臭げに言うと、此方を振り向く。
「普通の人形の振りしてろよ。一々怒られるの僕だからね」
青年に言われたからで無く、眼鏡の男が現れてから、何やら唐突に動かせなくなっていたし、そう云えば言葉も出せない。
出せないと分かれば安心して罵詈雑言言えそうな物だが、どうにも思い付かない。
眼鏡の男が此方に躙り寄って来る。
「金色か銀色にしようと思ったけど、白しかないねぇ。白にしようか」
眼鏡の男の息が顔に吹き掛る。
「あ、マスクしなきゃ」
マスクをした眼鏡の男の顔が間近に迫る。
輪ゴムで髪を纏められる。
上から下から舐め回す様に見られ、視界が復活した事を後悔した。
意識の切り方が解らない。
今迄如何やって切ってた?
顔が近い。
近い近い。
離したり近付けたりしながら何かしているのだが、人間にだってパーソナルスペースと云う物が有るように人形にだってパーソナルスペースくらい有るのだぞ。
いや一般的な人形は如何だか知らないが、わたくしには有ったりするので御座いますれば。
出来るなら。
今。
悲鳴を上げたい。
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