第16話


目が空洞になり、切り剝された頭皮にザクザクと針で穴が開けられる。


是は、何と言うか、是は。




異常者の類では無かろうか。




そうだ、見て呉れに騙されたがやはり青年の知り合いなのだ、或る種特殊な仲間なのだろう。


人形を傷め付け、破壊し、切り刻み、燃やし、話し掛ける。


そんな趣味の仲間なのだろう、恐らくそう云う変態なのだろう。




其処まで想いが至り、改めてゾッとする。




この先自分は如何なってしまうのだろう?


こんなバラバラにされ、切り刻まれ、滅多刺しにされ、其れでも死ぬ事の無い自分は。


そしてまた今、動く事も出来ず、視界も奪われ、其れでも意識の無くならない自分は。




何やら濡らされて擦られ、その後、手足身体顔に何やら吹き付けられ、吊るされ、恐らく眺め回しているのだろう視線を感じる。


内側まで、中まで舐め回すかの様に見て居る。




変態だ。弩変態だ。




「何色にしようか」


「何でも良いよ」




楽しそうな眼鏡の男の言葉に、青年が興味無さそうに答える。




「あ、服も用意しなきゃ」


「有り合わせで良いってば」


「でもねぇ、余ってるのこんなのしかないよ」


「それで良いだろ」


「あ、爪の色決めなきゃ」




うきうきと何やら気持の悪い発言が聞こえた。

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