第15話

「有り合わせで良いね」


「いーよいーよ」




何やら滑車の付いた引き出しを転がして現れ、中から刃物と巨大な針を取り出す眼鏡の男。


干されていた頭を手に取ると、やおら刃を突き立てる。


て。そこは額ですが。額ですが!?




「あ、刺さった。さすが」




青年が感心した風に呟く。




何が流石か、この唐変木め。其奴の人畜無害そうな見て呉れはまるで詐欺ではあるまいか。


ザクザクと頭部を切り開いて行く音に、此処は一つ人形パワーを見せつけてやらねばと奮起する。


奮起した。


したつもりだった。




動けない。




理由は解らないが、思う様に動けない。


バラバラにされて居るからなのか、其れとも他に何か理由が有るのか。


声すら上げられない。


如何なる事なのだ此れは。


何なのだ。


何なのだ、此奴は。




こうやって動揺している間にもザクザクと頭部は真っ二つに成って居た。




「流石だなぁ。こいつ、僕じゃ壊せなかったよ」


「壊したちゃ駄目だよ。可哀想に」




サクリと目に刃物を突き立てながら、苦笑して眼鏡の男が言う。


くるりと突き立てた刃物を回転させて、目に穴を開け広げて行く。


ザクザクと目の穴を大きくし、納得したのか頷くと、もう片方にも刃を突き立てた。

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