第11話

チャッ




「ママ、開いてるわよ」


「ラッキーね。ほらバッグ持って」




ひそひそとしたやり取りが聞こえた後の浮遊感と直後の落下の衝撃が襲って来る。


痛くは無い。痛くは無いが不愉快で或る。




「重っ! 何これぇ」


「中身確認して。ママはもう少し中を…」




ジャッ、と音がして眩い光りと共に視界に飛び込んで来たのは




「ぎゃあああああああああああああああああああ!!!」


「きゃあああああああああああああああああああ!!!」




……つい、雄叫びに釣られて乙女の如き声を上げて仕舞った……。




「なにどうしたの!?」


「ママ!! 怖いお人形が!!」


「何よ、人形くらいで…ぎゃああああああああああ!!!」


「きゃあああああああああ!!!」




むんずと掴み出され、逆さ釣りで間近に見下ろして来る


推定70歳過ぎ、推定100kg超、金髪ツインテール縦ロール、厚化粧、金綺羅ドレス、の、うっすら髭の生えた男性。


が。


2名。




「……ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」




仁王の様に挟まれている。


漏れているのは自らの声か。




「嫌!! こわああぁああい!!! ママぁぁあああ!!」




最初の化け物が鞄の中の釘バットを掴んで振り回し始める。




「辞めなさい!! ストロベリーちゃん!! ママに当たるわ! 辞めて!!」


「うぉぉぉぉん!! こわいこわいこわいいいぃぃぃ!!」


「ストロベリーちゃん!!」




釘バットを掻い潜り、「ママ」が手にしたソレでストロベリーちゃんの顔面を思い切り叩き潰した。


鼻面を。


手にした その 人 形 で。

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