第7話

溜息を吐く。否、呼吸はしないので真似事だけだが。


振り返る。


燃えない、死ねない自分をどうすると云うのか。


その物騒な物で粉々にするのか。


除霊でもしたら消す事が出来るのか。


それとも延々火炙りにし続けるとでも云うのか。




まぁ、選択肢は自分には無いだろう事位は理解している。


あちらさんがどうしたいか。それだけだろう。




「おま……ぶふぉっ」




吹き出された。




「…お…ちょ…おま…ちょっとま…」




目の前の青年は笑い続けている。


そうか、冷静に鑑みて見れば、此方は焼け焦げた禿げ全裸人形。


それがシリアスぶってゆっくりと振り返ればそれはもう箸が転がっても可笑しい年代の青年のツボにもヒットするだろう事は想像に難くない。


交渉の余地はあるかも知れない。




「…ぅウェー…わらくひでふね…」




声が出せた! なんか舌が上手く回って無いかの様な感じだが、何しろ音を出せたのは間違い無い。




変な喋りに更に笑い転げる青年。




「えー、ゴホンゴホン。あーあーあー。」




更に激しく蹲って地面を叩き泣くほどに笑い続ける青年の発作が治まるまで、ややの時間を要したのは後で記録することにしよう。

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