第6話
何をどうしたのか、服と髪を失いやや焦げた身体を引き摺って、火の落ちた炉から這い出る事に成功。
十数時間、十数時間ぶっ続けで火炙り。諸先輩方が思い出した様に燃えるのを辞めたお陰で、こちらまで完全に火が届くことが無くなり、只管熱いだけのしかも生物では無いので熱で死ねないだけの、そんな状態が十数時間。
もしかしたら魔女だって死ぬんじゃないのか、これは? と思い始めて十数時間。
気が狂えるなら狂った方が楽だろうに、死ねたら死んだ方が楽だろうに。なんだってこんな。
気が付けばある程度身体を動かせるようになっている。
更に言えば、虫や埃が燃え尽き、表面が炙られたせいで劣化した部分が艶が出ている気がする。
悪霊は見当たらなくなって居るが、先輩方は融けてくっついて身動き取れない様子。
これは、やはり、根性論も馬鹿に出来ないと認識を改めざるを得ないところか。
人間の居ない場内を、それでも、監視カメラ等あるだろうと目に付きにくい影を移動する。
時計を見れば3時。恐らく深夜。
まぁ、丑三つ時という言葉もある位だし。
「まぁ、丑三つ時という言葉もある位だしね」
声が出せる様になったかと思った。
しかし、つい最近に聞き覚えのあるその爽やかな声は。
真後ろから聞こえるその、声の主は。
「お前、根性入った奴だなぁ」
笑顔で何やら手に物騒な物を持っているその人は、確かに、ゴミ袋に放り込んでくれたその人だった。
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