第5話

誰だ呪いの人形は燃えないなんて言い出したのは。


思わずそんな事を思いながら、炉に放り込まれる諸先輩方を見送る。


あー、盛大に燃えてますねぇ。そりゃそうですよねぇ。


燃えやすい素材で出来ておりますからねぇ、我々。


そりゃ古来より炎は全てを浄化する清めの儀式ですものねぇ。


ええ、ええ。わかります。わかりますとも。




自分が燃やされるのでなければ、とても良くわかるロジックですとも。




ゴミ燃やす。


炎で浄化する。


よし、燃やそう。


そうなりますよね。




よっくわかりますとも。




しかしですよ、しかし、意思の疎通が出来る相手を燃やせる人間は数少ないのではないでしょうか?


意思の疎通を。意思の疎通。なんとか、意思の疎通……。


ああ、駄目でした。


炉に放り込まれました。


ゴミ袋毎放り込まれました。


せめて、寺で供養して欲しかった…保存状態が最悪なのはわかっているけれど。


もう、こんなの実況でもして気を紛らわせる位しか。


人形で良かった。


人形だから、炉の中でも熱くない。


髪が燃えても服が燃えても熱くない。


熱くない、熱くない……熱い!!


熱い!?


熱いんですけど!?


話が違うのでは無いですか!?


わたくし、無機物ですが!!


熱いんですよ!?


おかしくないですか!!


責任者出しなさい!責任者!!

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