第4話
嫌だ嫌だ苦しいのは嫌だ。
わかる。放置された人形はゴミでしかない。
数十年もこんな処に放置されて居たのだ。わかる。
服もボロボロ、顔の塗装も剥げ、身体の中に虫が入り込み、髪も半分無いようなそんな人形ばかり。
これは燃やすのが妥当だ。むしろ素手で触ってくれて感謝しなければ……
「うわっ、軍手じゃ駄目だ。ビニール手袋ありますか?」
素手ですらなかった。
否、贅沢を言える立場では無い。何とかして交渉の場を設けるのが先である。
どうやって?
どうやって!?
根性論は嫌いだが、ここは根性以外で頼れる物が何も無い。
否、悪霊! 頑張れ悪霊!! 今こそお前の力を見せてみろ!!
「昼の明るい内で良かったでしょう? ここに夜中に来たいとか、死ぬ気かと思いましたよ」
「本当ですねぇ。昼でもゾクゾクしますもんねぇ」
駄目か。駄目なのか。
悪霊はオヤスミタイムなのか。
云わば奇襲。おのれ卑怯なり。
などと思考を巡らせている間に、ほら、ゴミ袋の中ですよ。
そして、トラックの荷台ですよ。
そして、ゴミ処理場ですよ。
もう燃やされますよ。
あーあ。
次はもう少しマシな場所で、目が覚めますように。
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