結んで開いて綻んで③
数日が経ち、嫌われていると自覚していながらも、やはり双子のこともあり輪から外れることは許されなかった。 ある日の帰り道だ。
習慣となった四人での下校、といっても何となく気は重いが大和もそれに慣れつつあった。
「明日って土曜日だろ! 四人で何かして遊ぼうぜ!」
「いいね! 遊びたい!」
貴人の意見にすぐさま博人は乗っかった。
「大和も明日は大丈夫か?」
「うん、大丈夫だよ」
「よかった! 律も大丈夫だよな?」
「俺は別に・・・」
「律も強制参加なー!」
「・・・」
発言を遮られ心底嫌そうな顔をした。 だがそんな律にお構いなしに貴人は話を進めていく。
「じゃあ明日は何をする? あ、待って! 俺が当てるから!」
「当てる?」
博人の疑問を聞きつつ、貴人は大和のことをじっと見つめた。
「・・・分かった! 大和、みんなでゲームをして遊びたいんだな? よし、そうしよう!」
その言葉に博人は抗議するよう言う。
「え、待ってよ! それ大和の意見じゃなくて、貴人がやりたいことじゃん!」
「ちげぇよ! 大和のやりたそうなことを言ったんだ!」
「大和、本当にゲームで遊びたいの?」
そう問われると分かりやすく目を泳がせてしまう。
「え、あ、僕は」
「ほら大和が困ってる!」
「大和は遠慮して意見を言えないだろうから、俺が代弁したんだよ!」
双子の言い合いを聞いて溜め息をついた律は、一人で先に帰っていった。
「あ、ちょ、律くん・・・!」
「あーあ。 もう萎えた。 もう博人なんて知らねぇ」
そう言って貴人も一人先に帰っていく。
「・・・ごめんね、大和」
謝ると博人も一人帰っていった。 あまりにも突然な出来事に、どうしたらいいのか分からなくなる。
―――え、待って、兄弟喧嘩!?
―――というか二人共、同じ家なのに互いに帰る方向違うし!
―――こういう時はどうしたら・・・ッ。
考えた挙句律の後を追った。 二人に直接何かをするより、付き合いの長い律の力を借りるべきだと思ったのだ。 それでも話しかけるのには勇気がいり、意を決すると彼を追い越し目の前で止まる。
「り、律くん!」
「・・・」
「そのッ、貴人と博人が喧嘩をして!」
「・・・だから何?」
「早く仲直りをさせないと!」
「ただの兄弟喧嘩だろ」
そう言って通り過ぎようとする律を止めた。 いつもなら律を前にすると怖気付く。 だが今はあんなに仲のよかった双子が喧嘩をしたため、怖気付いている場合ではなかったのだ。
「そうかもしれないけど! このまま二人を放っておいてもいいの!?」
「貴斗たちの些細な喧嘩なんてよくあることだから」
「律くん!」
「・・・お前に、アイツらの何が分かるんだよ」
「え」
「たった数週間一緒にいただけだろ。 俺たちのことを分かった気でいるな」
そう言うとここから去ってしまった。 一人残された大和は立ち尽くしてしまい、それ以上何もすることはできなかった。
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