このレビューを書いている私、わきゅうに詩はわかりません。もうちっともわかりません。
けれど、そんな自分でも、この作品を読むとひどく感情が揺さぶられました。
難解な言葉が使われているわけではなく、むしろ、かなり理解しやすい文章で構成されているのに。
それなのに本作は、読み手の心の深い部分を動かしてきます。針でつつくような痛みではなく、まるで母親が我が子をそっと優しく撫でるように。
その手には、きっと様々な感情が込められているんだろう――。そんな事を考えさせてくれる、深い作品だと思いました。
『詩なんて小難しいもんは、わからん!』なんてお考えのそこの諸兄、ぜひ本作をお読みください。
季節が過ぎゆく切なさと、母の手のような暖かさと、楽しい夢が終わってしまった、ちょっぴりの哀しみを混ぜたカクテルのような。
ビールや焼酎もいいけれど、たまにはそんな味わい深いカクテルも、いいものでしょう?