第1話

 翌日の放課後、いつものように図書室へと向かうとボクの普段使っている席の向かいに人影が見えた。


「おい、そこで何をしている」


 誰だかわかったボクは、本も持たずニコニコと座っているに声をかける。


「あ、先輩!待ってたんですよ?」

「……何をしていると聞いている」


 一年の教室は二年の教室よりも図書室からは遠い。

 コイツ、やりおる……


「だから先輩を待っていたんですってば」


 わざわざ授業を終えてすぐここに直行しすることがボクを待つだと?


「ストーカーか?」

「先輩。声漏れてますよ?」


 おっと、ボクとしたことが。いけないいけない。


「それで?ボクに何の用だストーカーちゃん」

「……あの、その呼び方で定着するのやめてもらっていいですか?」

「わかったよ、ごめんねストーカーちゃん」

「……わかりました。私の名前を知らないからそうやって呼ぶんですね?私の名前は、、」

「いや、知るも知らぬもどうでもいいが、そもそもお前


 そう、コイツあろうことか朝から毎休み時間、二年の教室の階に来てはボクを探し、見つけ次第ずっとこっちを見続けるという謎の所業をしだしたのだ。

 教室で座っているときは教室の扉の影からこそこそしてるだけだったので勘違いで済ませられたが、トイレに立つと男子トイレの前までついてくるものだから流石に焦った。

 ちょうど陽キャのやつが出て行ってナンパしてくれなかったら危なかったかもしれない。


「ななな、ナンノコトデスカネ。アハハ、ワタシニハチョットヨクワカラナイデスネ」

「本当にわからないんだったらまずその片言な日本語とわかりやすく泳いでる目をやめろ」

「えっとですね、私の名前は工藤茜です。ちゃんと頭の中に入れて反芻して覚えてくださいね」

「聞いてないし興味もない。ましてやストーカーするやつの名前なんて覚えてやる義理もない」

「っ!?なんですかそれ!!酷すぎませんか!?」

「はいはい、僕は酷い人間ですよ。わかったらとっととお帰りやがれください」

「ええ、帰りますよ!先輩の名前を聞いたらね!」


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