プロローグ‐3

「告白って、ボクにしてたのか?」


 ぜぇはぁと、肩を上下させる目の前の子に問う。


「もう、当たり前じゃないですか……なんでわざわざ目の前まで行って他の人に告白しなきゃいけないんですか……」


 まあ、確かにそれはそうだが……


「それにしてもなんでボクなんだ?そもそも、だろ」


 彼女は微笑んで言った。



「好きになっちゃったから。じゃダメですか?」



 彼女は顔を少し赤く染め、照れた様子でそう言った。

 あんまりに綺麗な顔で言うもんだからつい見惚れてしまった。


「センパイ?」

「あ、あぁ。なんでもない……」


 確かに可愛いし綺麗だ、しかし……


「ごめんね、俺は誰とも付き合う気はないんだ。彼氏が欲しいなら他を当たってくれ」


 それじゃあ、といい保健室の扉に手をかける。

 図書室に本を置きっぱなしだし取りに行かなくては……


「彼氏じゃなくて先輩が欲しいんですけど」


 振り返るとジト目をした彼女と目が合った。


「だとしてもボクの答えは変わらないさ」


 それだけ告げ、保健室を出る。


 じゃあね、名前も知らない後輩ちゃん。

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