シルビアの思い
あれから毎日シルビアのことについて聞き込みをしていたルイでしたが、これといった情報を聞くことがなくて半分諦めていました。
そんなある日、家でルイが頭を抱えていると、シルビアがやってきて話し始めました。
「ルイ・・・私のことで頭を抱えるのはやめて。私は大丈夫だから」
そう言って笑顔を見せたシルビアにルイが
「このままシルビアの記憶が戻らなくていいの?」
と質問しました。
するとシルビアは少し考えて
「・・・なんかこのまま記憶が戻らないほうが良い気がしてきたの。記憶を戻しても良いことがない気がする」
そう言ってうつむいてしまいました。
こんなシルビアを見るのは初めてだったルイはびっくりした顔をして
「君がそんなことを思っているなんて、でもなくした記憶から逃げたらきっと後悔すると思う。だから記憶を戻す手がかりを探そう?」
そう優しく話すと、シルビアはうつむいた状態で何も話しません。
ルイはそんなシルビアを見ながら、シルビアが言ったことについて考えていました。
「急にあんなこと言って・・・なにかあったのかな?」
そう思ったが聞くにも今は口を開かないような気がしたため深くは聞かないことにして立ち上がりました。
「暗い話はこれまでにして、お茶でも飲もうか」
ルイは明るくそう言って、お茶を入れました。
シルビアはお茶を手に取り一口飲んだ後、ゆっくり話し始めました。
「実は少しだけ記憶が戻ったの・・・。だけど私には苦痛の記憶みたいで、深く思い出そうとすると頭が痛くなって思い出せないの。」
シルビアの言葉にルイは「そっか・・・」と言ってお茶を一口飲んで
「わかった。じゃあ、手がかりを探すのはやめるね。苦痛な思いをさせてしまってごめんね」
とシルビアに謝るとシルビアはびっくりした顔をして
「そんな!謝ってほしくて言ったわけじゃないの。私も無理言ってごめんなさい。ありがとう」
とルイに言うと、お茶を飲んで
「ルイの入れるお茶は美味しくて好き」
と頬を染めながらつぶやきました。
ルイはシルビアの心な姿に胸が高鳴り、照れてしまいました。
ルイはこんな気持は初めてで、どうすればいいかわからず、だたお茶を飲むことしか出来ませんでした。
ルイは気まずくなり
「夕飯の準備するね」
と言ってキッチンに行き、夕飯を作り始めました。
シルビアはそんなルイの後ろ姿を眺めながら、夕飯ができるのを待つのでした。
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