第3話
それからは地獄の日々だった。
俺は運動などろくにしない吹奏楽部の陰キャ。
一個上の姉貴はバスケ部なんだが、
俺とは違ってシュッとしてる。
俺の二分の一くらいの体型で、身長158センチで45キロ。俺は10センチ高いが、体重は70キロほどあった。
「俺、ガチで痩せたい!」と頼み込んでダイエットのコーチになってもらった。
毎日、
夜の九時から深夜十一時まで千曲川の河川沿いの道路をみっちり走らされて俺はへとへとになった。でも、楽しみもあって。
ごくたまに、走り込み中、会える美女がいた。
俺は南に向かって走っている途中で、彼女は北へ向かって走る。
黒いタンクトップのポニーテール美女。
歳は俺と同じくらいか、少し若いか?
胸がめちゃくちゃデカい女。
揺れる胸が犯罪的にヤバかった。
本能的に目で追っていた。
「おい、こら、よそみすんな!
オッパイを見るな!!」
「ねぇちゃん、これは男の本能でさ、
しょうがねぇんだよ」
姉貴は貧乳。
巨乳女を敵対していたんだ。
「胸なんてな、あれば邪魔なの!
ない方がいいの!」
俺の横を走りながら背中をバシーンと
たたき、叱咤激励されたけど。
胸はあった方が魅力的に決まってる。
姉貴は他にもいろいろと厳しかった。
「間食は禁止な!それから好き嫌い言わずに野菜も食べること!」
「ご飯は三膳から一膳に減らすこと!」
「う、うん...」
姉貴の指示に従い、俺は走り込みに
筋トレに精を出した。
歳月が流れて。
風呂上がりに体重計に乗ったとき、
気が付けば痩せていた。
マイナス15キロ。
大幅な減量に成功していた。
それにつけても姉貴に腹筋や背筋も鍛えられ
バッキバキになってた。
ダイエットに成功して初めてのプールの授業で、俺は上半身、裸になった。
今のいままで豚だの、陰キャだの
モテない男子などとバカにしていた女子が、
きゃいきゃい寄ってきた。
「ねぇー、ちょっとお腹、触ってもいい?」
「細マッチョだねぇ...!」
「カッコイイわぁ...」
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