第4話
「ちょっと、俺の身体、勝手にべたべた触んないで...!」
「えー、いーじゃん!今まで、こんなモテモテになったことないっしょ?
嬉しくないのぉ??」
体育の先生が席を外している最中。
水着姿で。
胸とか押し当ててくる女子達。
俺は顔をしかめた。
いままで俺は、散々おまえらにバカにされてきたわけだから急に持ち上げられてもなぁ。
冷めた目で見る他なかった。
無理矢理ハグしてくる女子もいて、
俺は困り顔をしていたんだ。
「離れてくれないか?」
「えー、いやよぉ」
俺が絡み付いた女子の腕を剥がしかけたときだ。
水飛沫が上がって、
「キャーッ」って悲鳴が聞こえてきた。
見学中の女子がプールに落とされていた。
俺の想い人、真島マヒロがプールのなかで溺れていた。
「ほーら、やっぱり泳げないんだ!w
私よか胸がでかいからって、お高くとまってんじゃないわよ!」
「あんたなんて、ただの
ホルスタイン女でしょ!!メガネだし、
地味だし、顔可愛くないしっ!」
学年一、性格が悪く、だが、
学年一可愛い。しかし、ぶりっ子の真島アケミが
マヒロのスタイルの良さに嫉妬して
プールに叩き落とした瞬間だった。
今、水着姿になってるアケミだが、
マヒロと比べたらやや小ぶりの胸だった。
マヒロのこと、
ただのホルスタイン女だと言ったアケミだけど。
マヒロの
眼鏡はどこかに行方不明になったんだが、
やたらと美少女が現れた件。
男子から歓声が上がり、女子達も息をのんだ。
アケミは一歩も二歩も後退りしていた。
そういえば。
マヒロは俺が痩せていくのと、ほぼ同時くらいに痩せ出していた。
俺はハッとした。
千曲川の河川敷ですれ違った美女は。
プールに落ち、美少女の姿が露わになった
とき、分かった。
真島マヒロ、だった。
ポニーテールにこそしてはいなくて
髪の毛普通に下ろしていたが、
あの切れ長の目。
黒タンクトップの女に間違いなかった。
俺はマヒロを助けるために、
プールに飛び込んだ。
「お、おい、大丈夫か!?」
姫抱っこで救出し、プールサイドに
座らせた。
「う、うん。ありがとう助けてくれて」
素っ気なくない会話だった。
「ど、どういたしまして」
「おまえ、随分と痩せたんだな」
「うん。山吹くんが痩せていくのを見て、
私も頑張らなきゃって思ってさ」
「タンクトップの走り込み女、
マヒロさんでしょ?さっき、メガネなしの素顔見て気が付いた」
「大当たり」
ふふっと可愛く笑った。
俺は彼女が笑顔になったの、初めて見た。
さて。
マヒロをプールに落とした、学年一の美少女であり、ぶりっ子のアケミは、
体育の先生に職員室へと連行されて行った。
みっちり、お説教をくらい、泣いて謝ったのか
目を真っ赤にして教室にもどってきた。
俺が洗いざらい、ちくってやったんだ。
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