2021年06月24日【大衆小説】電気/洗濯機/暗黒の高校 (1126字を/26分で)


 ご視聴ありがとうございます。赤ちゃんが前世からの宿敵と戦うアールティーエー、始めていきます。前回は高校の三階に潜入したところでした。今回は三階での稼ぎを済ませて二階へ向かいます。


 アルファは教室の三人組から逃げて、廊下を進む。手前には電気室があるが、これは後回しで反対側の家庭科室へ向かった。正規ルートでのセオリー通り、家庭科室洗濯機を動かしておくと電気室のボスを倒しやすくなる。


 家庭科室に入るとすぐ、ランダムで居残り生徒が襲いかかってくる。確率は低いが、今回はその低いほうを引いた。教室と違い、家庭科室の机は固定されている。脚を鎖で繋がれた状態では筆箱からペンや鎖鎌を投げる程度なので、物陰に隠れたり、回避したりで奥まで進む。


 アルファはこの学校について正義の高校と聞いていた。正義とは時に横暴になる。居残り生徒が首から下げた札には「砂糖を入れる前に塩を入れました」と書かれて、反省文を提出するまでこの場に囚われている。


 アルファは洗濯機のスイッチを入れだ。もう一つ、安定重視で緑色の砂糖菓子を拾った。回復アイテムとしては最低ランクだが、あるかないかの影響は大きい。特に電気室のボスはたまにクリティカルヒットがあるので、諦めずに済む手段を用意しておく。これだけで潜入ミッションがぐんと成功しやすくなる。


 帰り道も鎖鎌を避けて、元の教室の前を再び通り、電気室に向かった。アルファの赤ちゃんパワーで配線をちぎり、所定の順番で繋げ直す。本来ならば繋げ方を職員室で調べる手間があるが、アルファは貴重な前世の記憶持ちなので、直接ここまで来ても達成できる。


 事故要素以外に負ける理由はないので、ボスはカット。アルファは無事、二階に足を踏み入れた。前情報の通り、廊下には卒業生と退学生の顔写真・名前・誕生日・血液型が貼り出されている。


 アルファの母・ブラボーの写真を剥がす。これで母の顔を確認できなくなり、揃って潜入できるようになった。アルファは赤ちゃん魔術で母を呼び出す。床に飛び散った液体が魔法陣となり、母の体が徐々に登ってきた。


「よくやった。これで当分は拠点にできる。すぐに軍勢も再生産するが、それまでの防衛は頼むぞ」


 母は唸り声をあげて、腹部から新たな子を産み落とす。まずは盾兵を五体、続いて弓兵に取り掛かる。赤い液体を飛び散らせながらぼとぼとと這い出ていく。


 同時にアルファは、廊下側の足音を察知した。見回り当番の先生だ。武器は安価なブラックジャックだが、今はアルファも準備が整っていない。どうにか撃退しなければならない。血の臭いが漂う部屋はすでに見つかっていると想定し、アルファは武器を手にする。


 今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。



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