2021年03月23日【指定なし】島/アルバム/バカなツンデレ(1025字を/45分で)
小さな離島に産まれたら、大人になるまでは逃げられない。住民は優しく大らかなので多くの者は困っていないが、Aは中学生になってから別の考えが頭をよぎる。
「よおA、また背が伸びたね」
毎朝、登校すると一番に同級生のBが話しかけてくる。小さな島とはいえ、遠くに住んでいると会う機会もなかったが、中学校になると各地から集まる。入学式の日に、Bの失せ物探しをAが手伝った。それ以来、やけに近づいてくるようになったのだ。
「自分じゃわかんねえよ」
「ほう? かっこつけるね」
Bは胸が大きい。その一点のみで盛った男子たちの目を引くが、素直でない受け取り方をするので、難攻不落と言われている。
そのBが、さりげなくAに近い場所に立つ。お互い仲良くしてはいないのでぎりぎりで茶化されはしないものの、男子たちの羨望の目線がAに刺さる。
一方でAは、別の所が大きくなる懸念から目をや手元に向けがちだ。今日のような、暑さが増した日は特にだ。
「Bさ、他の男子にはもっとあっさりしてるのに、なんで俺ばっかり」
「邪魔者扱いはやめてくれよ。私みたいな律義者を占有しているくせにさ」
「何も律儀じゃないし、占有もしてないだろ」
「昨日さ、教わったアルバムを買ってみたんだ。いい曲だね」
「俺が何を教えたって?」
「スマホにメモしてたから、こっそり教えてくれたのかなって」
Aは記憶を辿った。スマホにそんな画面を映したのは、確か昼休みの終わり近くの、チューイングキャンディの新フレーバーが発売した話を聞いたときだ。匂いが美味しそうだったので買い物メモに加えた。その時にBも後ろにいたらしい。
「覗き見はするなよ。スケベだぞ」
「そのお誘いは早すぎるよ」
お詫び
バカさを表現するために、
初めは実話を元にした不出来な会話を使うつもりでした。
たとえば、
言いたい内容のために事実を歪めるとか。
喋りたい言葉をダラダラと並べた挙句に質問には答えないままとか。
これらが本当にありました。
そう考えていながら、
書く段階では的外れにできず、
結果的にバカとは言いがたくなってしまいました。
これには2個の理由があります。
ひとつは、
私の脳は特定の記憶に対してストレスを察知してしまう。
もうひとつは、
私が私でない思考を再現するには技量が足りない。
以上により、
作中のBは言うほどバカではありません。
たいへん失礼しました。
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