2021年03月18日【邪道ファンタジー】緑色/妖精/無敵の山田くん(レア)(889字を/33分で)


 山田が行方不明になった。無敵能力を持っているので、山田が邪魔な組織は多い。そうなれば今回も、殺害以外の方法での処理と想定し、Aの出番になった。


 現場に残された緑色の血痕から、犯人の目星をつけた。偽装工作の可能性もあるが、まずは山田の反撃によるものと想定して、血液が緑色の種が集まる部族を訪ねた。


 部族は森を抜けた先に住んでいる。道を惑わす魔術の霧を抜けるために、妖精の案内人を雇った。需要を作るいい商売だ。高い買い物ではあるが、山田のためだ。Aが危機に陥っているとき、山田は必ず無敵能力を使って助けてくれた。なのでAは、無敵能力では対処できない範囲を受け持つ。


 部族の街に着いた。Aの能力の前では誰も隠し事はできない。この街は今、流れついた何者かが牛耳っていて、その者が山田を邪魔にしている。山田を狙わせたのは、他の者らから孤立させて裏切りを困難にする手の一部と予想した。血液が緑色だと強引な理由で迫害されてきた歴史がある。現代では徐々に回復してきたものの、そんなときに緑色の血痕を残して悪事をさせれば、流されやすい者らを扇動するには十分だ。


 Aは彼らの長に掛け合った。

「その流れ者についての情報が欲しい。我らが代官は、山田を失うわけにはいかないのだ」


 その言葉で始めてから半刻後に、ひとつの建物を示された。地下に続く秘密の通路を通る方法と合わせて、ここに重要なものがあるか、もしくは罠であるかだ。


 階段の下では、山田がこんがりレアに焼き上がっていた。無敵能力のおかげで生存しているものの、変性したタンパク質は治らない。細胞が入れ替わるまで山田は動けないのだ。人間の細胞が入れ替わるまでは、最長の部位では六年を要する。それまでの山田をステーキ喰らいトロールから守る。


 今日のところは山田を助け出したので代官の元に帰るだけだ。明日からもAの仕事はまだまだ続く。



 お詫び


あまり邪道とは言い難くなってしまいました。

原因は私が正義の体現者だからです。

存在に対して邪道呼ばわりをする狭量さをもし持っていたならば、

邪道にできたかもしれない。


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