第21話 閃光を放つ、--技術統制--。その正体!!

 「まだだ、まだ終わってぬわい!!」


 どっかで聞いたようなセリフやめろ。

 洞窟の奥で野太い声が反響する。顔を上げてそこを見ると、まばゆい閃光に目がくらむ。目をつんざくような光があたりを照らす。

 ザクザクと地面を踏んで、迫りくる人影。その閃光の中から影がにじみ、次第に濃くなってくる。そして、その眼はデジタルに輝いている……


 ……

 半裸の男。

 「ジェニム・ロットォォォォ!!」

 ムキィ、ムチムチィイ!!バキィィ!!

 すさまじい音を立てる筋肉。筋肉の胎動が空気を揺らし、ソニックブームを放つ。

 「見よこの黄金の筋肉サンザー・マッスル!!私が--技術統制gelenst walst--博士だ!!」

 ピカーーー!!!!


 !?!?!?!

 「なん……じゃと!?」


 アルバスラ博士……。

 「嘘だ……。」

 「嘘ではない!!ジェニム・ロット。私は世界を救うぞ!!」

 アルバスラ博士、研究所とともに爆散したはず。そしてその形見が私の肩のデバイスと、このAIジジイ。


 「アルバスラ博士!どうして、どうしてあなたが!あなたは現代科学の希望だった!!」

 低く、太い声が洞窟を木霊する。

 「そうだ~!私が現代科学の希望だよ!!」


 「そんな、技術統制博士!?あなたが私たちを操って……」

 ヴェルム様。あなたもうヘンテコ眼鏡外れてるわよ……。


 「ふふふ、そんな--技術統制gelenst walst--な、と思ったろう。だがな、『争いのない社会、絶え間のない進化Uwave roxt s:venc, Wibende roxt nooia』は技術統制により完成する。技術統制は人間の--技術統制gelenst walst--な感情と思考を抑制することで、美しい社会を実現するのだ!」

 なるほど、人間の負の感情をデジタルで--技術統制gelenst walst--変換し、抑制するわけか。


 「人間は愚かで汚い。今の世の中を見て見ろ。拝金主義と私利私欲。結局は他人を踏み台にする。私たちは個でありながら全てである。私たちは誰も踏み台にしない!!それが進み続ける技術統制だ!!」


 「博士、それは間違っているんだが!!」

 プロアイスが叫ぶ。

 「なぜなら人間の負の感情も、芸術をはじめとする文化の根底にある。負の状況はすべて前進する糧。それを強制的に抑制しては、進化は止まる!!」

 

 ヘンテコ眼鏡をはずした全員がアルバスラ博士をにらむ。どうやら、博士の”実験”は失敗に終わりつつある。

 「そうです。私は陛下がどんなに技術統制で、技術統制な方でも、そんなありのままの技術統制な陛下の方がいいですね……」

 「言うやん。」

 そうだ。ヴェルム様のいう通りであり、偽りの進化と物理的強制では文明は進まない。


 プロアイスが横から入ろうとすると、奥からもう一人やってくる。

 「君の相手はボクさ。」

 ジエール・メンタリズム学会理事、ギヴェグト・プローシェ!!

 「レモンが酸っぱくなくなるデモンストレーションをやってあげよう!!」

 「お前まで……。テレビでn回見たんだが!?」


 「アルバスラ博士、その先にあるのは停滞だHiiroa!!」

 「--技術統制gelenst walst--な、ではどちらが正しいか、今ここで決めよう!!」


 デ、デ、デデデデー、デ、デ、デデデデー♪

BGM:技術統制のテーマ『天啓:辟。髯舌→蜈峨→騾イ蛹』

(https://soundcloud.com/user-20273945/5fc767wuerh7)


 「技術統制ブラスト!!」

 博士が指先を揃えて前に着き出すと、体を伝う稲妻が指先へとつながる。ヘンテコ眼鏡がウェーブを描き、次の瞬間!!

 

 「速い!!」

 バチンとすさまじい音を立て、稲妻が走る!!私は腰をそらせて寸前で躱す。


 「あんぎゃああああ!!」

 「へ、陛下!!」

 「ち、外したか……」

 「当たってンだわ……(プスプス)」


 なるほど、すさまじい威力だ。私がこれを食らえばデバイスが一瞬でショートするだろう。相性が悪い。


 「マインド・デジタルコンバージョン!!」

 ワワワワワ~~~。ギヴェグトの手が描く「△」からヘンテコ眼鏡のウェーブが拡散される。

 「く、体が言うことを効かないんだが!?」

 あちらも苦戦しているようだ。私から仕掛けるしかない。

 「カードセット!!ヅィーラ・ジェイス、大艦巨砲主義軍拡チャージショット!!」

 私は両腕を前に出すと、ガチャンガチャンと音を立て、一つの大砲へと姿を変える。黄色い光が即座に発射され、前方で爆発する!!

 

 シュー……パラパラ。しかし、そこには誰もいない。

 「そんな遅い攻撃では当たらないぞ……」

 くっ、ならば……

 カードセット。危険なカードだが、

 「シューデン・ケーリフ、違法改造肉体美!!」

 私の腕がズルズルと膨張し、触手のようになる。

 「機械より、美しいのは有機体。シューデン・ケーリフ心の俳句」

 触手がアルバスラ博士に向かって横から襲い掛かる。しかし、体が言うことを効かない。このカードは私には早すぎた!?


 「フン、俳句などという文化知らぬわ!!ライトニング・テレポーテーション!!」

 彼はジャンプすると、そのまま体が稲妻に変化し、バリバリという音を立てながら私の背後に瞬間移動する。そのまま両腕を前に出し、私に向かって何かを発射するポーズをとる。


 「雷神グ・パニッシュ!!」

 彼の体が脈打ち、手が光ったと思うと、私の体は壁に打ち付けられていた。

 「ぐわあ!!!」

 壁が崩れ落ちる音。戦闘ヘルムのインジケータがバグっている。ショートしたのか。私は力を振り絞ってヘルムのスイッチを切る。インジケータが終了し、肉眼で前を見る。しかし、曇ったようにぼやけ、見えるのはただ一つの光る物体。


 「ジ……シッかりす …のじヤ!!ジェニ…ロ …!!」

 デバイスからホログラムが投影されたかと思うと、それはジジイという音と共に左右に揺らぎ、数秒後に消えた。

 負けるのか……。


 「お前の負けだ!!ジェニム・ロットォ!!」

 

 


 


 

 

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