第16話 技術統制に潜入せよ!!
翌日、私たちはサーヴァリア軍の突撃に合わせ、技術統制の拠点に潜入することにした。惑星アインスネルクは蒸し暑くて困る。私は戦闘スーツ付属の空冷ファンを回した。ブーン。あーきもち。
ピュンピュンピュン、ズガガガガ。
「
企業連合軍の突撃が始まった。昨日の彼ら、今はうまくいっているだろうか?
さあ、私たちもそろそろ突入しよう。いくら技術統制軍が強いからといって、すぐ壊滅はしないだろう。彼らに道を切り開いてもらおうか。
私たちはサーヴァリア軍が見えなくなると、こそこそと後ろから洞窟に突入していった。ところどころに死体が転がり、圧倒的にサーヴァリア軍が多い。技術統制軍には地形的有利があり、謎の技術も相まってかなりの強さがあるようだ。
洞窟の中は湿っているが、外の熱気が嘘であるかのように寒く、迷路のように入り組んでいる。奥からは戦闘の音がエコーして響き、音のなる方へ、死体の続く方へと歩いていく。
さらに進むと、空間が開けた。そこは小都市のようで、下は深く上は高い。真ん中に大きな穴が開いていて、岩の建造がそれを取り囲んでいる。いたるところに階段があり、手すりがある。様々な角度からライトのひかりが差し込み、ところどころに作られた踊り場のような場所は洞穴植物の農場のようになっている。こいつらは太陽光がなくても酸素を供給でき、さらに食物にもなるのだろう。洞窟の中にこれほどの文明が築かれているとは。
関心が戦闘の音でかき消される。鳴り響く銃声、兵士の叫び声。住民はすでに避難しているようで見当たらない。住民もあのヘンテコ眼鏡をしているのか気になるところだ。
すると後ろから再び雄たけびが聞こえる。企業連合軍の第二波か!!私たちはそれを聞くとすぐさま民家に隠れた。ドアを閉め、鍵をする。民家は狭く、簡素なつくりだ。銃声が鳴り響くと、パラパラと壁から砂埃が舞う。
「そろそろ行くんだが」
音がやむと、同志プロアイスがドアを開ける。円状の都市から道が放射状に広がっている。どのみちにも企業連合軍の死体が転がっており、どこへ進めばよいのかわからない。
「ガナン司令官。こちらジェニム・ロット。」
「こちら司令部ガナン司令官。」
「アインスネルク洞窟のマップはあるか?」
(カチャカチャ……)
「9年前の物だが存在する。これより転送する。現在は構造が変化しているだろう、参考までに使用してくれ。」
「感謝する。」
ヘルメットの機能により目の前に地図が映し出される。道の数は同じ。ここに関しては変更がないようだ。同志ルニアスはきっと中心部にいるに違いない。マップの中心地にはひと際大きな円が描いてあり、おそらくこれが中心となる都市なのだろう。
私は腕を伸ばして合図をする。
「同志プロアイス。こっちだ」
しかし、この洞窟都市の道はトンネルのようで、すれ違えば戦闘になってしまう。
私たちは中心部へと続く道を行く。道の死体が薄暗いライトで照らされ、向こうから聞こえる銃声が響く。今回はかなりの大規模攻撃のようで、企業連合軍も続々と投入されている。
なんてこった。道が傾斜になっていて、流れてきた血がねちょりと足を絡める。ああわわ。私はそのままステンと転んでしまった。
ベチョォ……
手をついたそこには……
「イヤ~~~~~~~~~!!」
「お、おい、静かにするんだが!?」
しまった。
「Xra sйi !!」
「Jus jus jus !!」
ドドドドド!!いかん、これはエミュンス語。技術統制軍だ!!
「やばいんだが。」
「ガナン司令官。交戦する。」
「確認した。やむなし。交戦を許可する。」
シュッリルムスライトの戦闘スーツを着た技術統制軍が5人目の目の前に展開してくる。道の幅が狭く、同時に戦闘できるのは3人までだ。彼女らは戦闘ヘルメットが改造されており、ヘンテコ眼鏡同様目のところに横のラインが入っている。
私は怒りに震え、訴えた。
「戦士の誇りを忘れたか!?」
無機質な声が返ってくる。若干の機械音とノイズが混じっている。
「『誇り』?そのスーツ。貴様、連邦軍か。しかし、なぜここに。」
「『服従』の時代は終わった。」
まったく苛立たしい声である。まるで魂がないかのような、そんな口調だ。ごちゃごちゃとぬかしやがる。
「天嶺連邦に帰順せよ!!」
「--
技術統制?私が?意味が分からない。というか、機械音声みたいなアクセントだったな。
「来るんだが!?
プロアイスは素早く変身を済ませると、すでにナイフを放っている。
「管理主義ナイフ!!」
再びスローモーションが発生する。ナイフがゆっくりと飛んでいくが、結局敵は避け……
シュピンョン!!「=」みたいな残像が「☆」を描く。
よ、避けた!!早い!てかなんだその音!!
「なかなかやるんだが?」
「遅いな、止まって見えたぞ」
なんて奴らだ……
「カードセット!!お前たちにお見舞いするのは……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます