第9話 サモナーバトル!!
「アーマー、
私は右手を前に突き出すと、合図で亜空間に収納されていたマルチディバイスを起動する。すると、足元から光が現れ、あたりがまぶしく輝く!
ピカー!!
次の瞬間、私は戦闘スーツに身を包み、カード・ハンターの前に立ちはだかる。
「
カードハンターが大声を上げた。
「ちょっと待って待って待って!!ぼ、暴力はよくないよ~。話し合いで、ね。」
おのれ、戦士アル・ロット、研鑽主義のまやかしにとらわれ日和見主義になったか。彼女も今や虐げられて生きる身。この際、私が目を覚ましてやらねばなるまい。
「ええい、こうなったらやるしかないか!」
カードハンターが分厚い黒いコートを脱ぎ捨てる。すると、デッキケースを腰につけた巨大なベルトがあらわになる。
なるほど、『サモナー』というわけか。いいだろう。
「召喚!!《Brel:uv:eo/甘い汁を吸うもの》」
キシャシャーーー!!巨大な虫が召喚される。緑色の甲虫だ。羽を羽ばたかせて、我々を威嚇する。アル・ロットは虫が苦手なようで、「キャー」と戦士らしからぬ大声をあげて車の後ろに隠れてしまった。
「さあ、お前のターンだ。私のモンスターに勝てるかな?」
こざかしいやつ。いいだろう、なら私は彼を起動させる。デバイス・オン!
「いでよ、《Looeno' G:axkoo, aroie Naxtsiulonsh/管理主義の始祖、ギャッコー》!!」
ピロロロロ、機械の起動とともに方のデバイスが光り、前方に投影される。
キシャシャシャー!!甲虫を目の前にして、老人が呆然とする。
「え、何この状況?」
「いや、今回の敵はサモナーっぽかったから召喚してみたんだけど……」
「え、わしシステム・クリーチャーなんじゃが??戦えないんじゃが??」
甲虫が前足を振りかざし、責め立てる。
ズギャーーーー!!地面をかすめ取り、残骸が押し寄せる。
「あんぎゃーーーーーー!!」
「老人!!大丈夫か!?」
老人が細い眼玉を見開いて、私を威圧する。
「大丈夫じゃなわい!!もっとスタッツのあるユニットを召喚せんかい!!」
そういわれても、私サモナーじゃないしなぁ。どうやって戦えば……
「お前じゃい!!」
私か!!
カードを片手に、デバイスにスキャンさせる。
「
ジャキーン!!
「いやその使い方ダメでしょ!!」
拝金主義者の戯言を聞く必要はない。
「うるせーーーーーッ!!」
私はブースターを展開し、高く飛び上がる。甲虫もこれに負けじと翼を動かすが、飛び上がる前に一撃を受ける。甲虫の背から学習支援基金ブレードが突き刺され、ギチチと音を立てると、次第に動かなくなった。
「いやちょっと待ってよ。私たちがやってるのは小売業と同じだし、私は
召喚したモンスターを撃破されたからか、拝金主義者特有のサーヴァリア語混じりの反論。それにアル・ロットも便乗する。
「問題を起こすと、ほら、危ないし、話し合いで、ね?」
慌てた様子だ。とにかく問題を起こしたくないといった下層市民の思想、そのもの。
「おじいちゃんもなとか言ってやってよ!!」
話しかけられてダメージを受けてちらちらしてたホログラムがしっかり映る。いや、ダメージ受けてたフリしてたんかいィ!!
「う~む。でも考えてみるのじゃ。おぬしは買いたいカードを変えなかったわけじゃろ?」
「でも、暴力は……」
いや、お前兵士だったやん……
「カードだけじゃない。コンサートのチケットや、ゲーム、本。何でもかんでも、欲しい人のところに、「最安価」で届かない。小売業との最大の違いは、「販売意欲の促進と幅広い供給」に貢献していないことなんじゃ。」
アル・ロットが頷く。どうやら私の手間が省けそうだな。
「問題は、必要のない人が必要のないものを独占し、必要な人への供給を妨げていることなんじゃ。管理主義の目指す理想郷はやはり、欲しい人が再安価で欲しいものが買える社会。だからテン・ヴァイヤーは我々の敵なのじゃ。」
「なるほどね~~~~」
と、次の瞬間。触手が私の体に巻き付いてくる。ワーム上のモンスターが召喚されていた!!
「バッカね~~~~~!!あなたたちが御託を並べている間に、エネルギーが回復して再召喚が可能になったんだな~~~ぁ!!」
く、卑怯なやつめ!!
巻き付かれたまま、上空に持ち上げられる。まずい、このままでは丸のみだ!!
「
カードハンターがまたもヘイトスピーチをかましてくる。だが私はなすすべもない。
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