第7話 光と闇、そのはざま!
「こんな世界、間違っていることはわかっている。だが今や俺は部下たちの命を預かる身……このままでいいのか、でもどうすれば……!!」
★★★
ここは三大財閥の一つ、カヴァラガ・ラーギットが運営する"
「金が必要なんだ!」
「貸してくれ~~~~、頼むぅ~~~~。」
無数の個人経営者たちが、群がっている。惑星ヒェルニエでは急激に進む拝金主義社会についていけず、個人で商売をやる連中が多い。しかし、三大財閥の圧倒的な「大量生産・高品質・薄利多売」商法に勝てるはずもなく、価格競争に敗れていた。
金のある所に金が集まる。設備投資があってはじめて「良質・安価」な製品ができるのである。
健全な資本主義社会では、皆が対等に自分の商品を武器にして戦える。しかし、この拝金主義社会ではすべては財閥の手のひら。個人経営者は生きながらえるか、死ぬかだ。
仮に、新しいビジネスをひらめいたとしても、財閥に買収されるか、つぶされてアイデアを盗まれるか。結局足元を見られているから、買収されたとしても大した資本を得ることはできない。こうしてみな堂々巡りを繰り返すのだ。
「お前の商品は時代遅れだ。これじゃあ経営再建は無理だな。」
「そんなぁ、野垂れ死ねってんですかい?」
「ああそうさ。自然淘汰だ。神を恨むんだな」
今回の目標はこの
ウィーン。
「いらっしゃいませ~~~~。って誰だお前は!!」
指先をそろえて、肘を曲げ、指先を肩につける。シンテーア式敬礼のポーズだ。
「私は強化兵士、ジェニム・ロ~~~~~ット!!」
「テ、
「おっとまて、警報を鳴らすなよ!」
私は銀行員に銃口を向ける。そう、ここにいる客は人質にはできない。そういうことだからだ。
「ここにある金!すべて生活困窮者と経営の厳しい個人経営者に分配させてもらうぞ!!」
「義、義賊だ!」
「いいぞ、やってまえ!!」
管理主義エネルギーの高まりを感じる。
「皆の衆、管理主義社会が実現すれば、ベーシック・インカムが復活するぞ!」
老人がプロパガンダを始める。
「おおーーー!!管理主義の父、ギャッコー・セーヴェル!!」
転向の機運が高まっていく。
「まて!」
何者!?
「俺は支店長、ハベヂラだ。人質なら代わろう。俺の方が『価値』があるぞ?」
ふん、いい度胸だ。私は、彼の腕を引っ張るとそのまま関節技をかけて跪かせ眉間に銃口を当てた。
「さあ、電子マネーをすべてこのバーコードに転送しろ!早くしろ!!それから皆に分配する!!」
「支店長!」
キャーキャーと喚く行員たち。どっちが悪者かこれもうわかんないねぇ。
「このような醜い力、使いたくはなかったが……お前たちを守るためなら!」
メチメチメチ、男の体に触手が巻き付く。強大な筋肉を形成し、すぐに私の拘束を打ち破る。くッ!拝金主義モンスター!!
「警報はならすな!こいつは私が倒す。そうすれば、俺たちの手柄だ。今は恐怖に耐えてくれ。そうすれば、皆にボーナスを支給しよう。」
彼の瞳はその姿と異なり、彼なりの正義の輝きを宿しているように見える。彼は少し距離を取って、ずっしりと構える。
「俺の部下には、皆それぞれの家庭がある。上司である俺は、たとえ上からの重圧をかけられても、それを守る義務があるんだ!!」
「お前、なぜその心を人民のために使わない!?」
「この社会は弱肉強食、お前とは違って俺には部下がいる。部下を持ってしまった以上、俺にはどうすることもできない……。俺が裏切れば、職を失ってのたれ時ぬのは俺の部下たち。それだけはごめんだ!」
そういうと、彼は触手を腕からはみ出させて剣を形成し、突進してくる。
「ウオオオオオオ」
私は、銃で応戦したが、敵の装甲が厚くあまり効いていないようだ。
「ハッ、ハッ、ハッ!」
すさまじい動き。しかし私はそれをひとつずつかわしていく。こいつ……できる!
「いつまでもつかな?」
ええい、このままではらちがあかない。
「カード・スキャン!『管理主義は民設公営』!!」
―――拝金主義は公設民営、管理主義は民設公営。ないものは作る。需要があれば国が責任をもって運営していく ―――
「管理主義民設公営剣!!」
デバイス:「ルニアス思想、認識しました。装備
ギンッ!コッ!ィインッ……!
下を攻めれば下が守られ、上を攻めれば上が守られる。交わった刀が振るえ、後に引く音を鳴らす。
くそッ……互角だ!
カンッ!キンッ!防がれ、防ぐ。
「支店長、頑張って!!」
「今度子供が中学校に入るんだ。ボーナスで勉強机を買ってあげたい!」
クソ、拝金主義の力が敵に満ちていく!エリート層だけで教育を独占するなど許せないことだ!!
ヨッ……!キンッ!
「ジェニム・ロット!!がんばれ!!」
「俺たちの為に、ありがとう……」
私も管理主義の力を受ける。
お互いの剣が拝金主義の金色と管理主義の藍色に輝き、交わる。
「お前は俺たちの幸福の邪魔だ!!!!」
「幸せは奪い合うものではない!!!!」
―――――――!!
ここは……
「ここは僕の工場だよ」
私は……負けたのか?
「君たちは互角だった。両方とも気を失ってしまって、このまま軍を呼ばれると困ったから、みんなで連れてきたんだよ。」
頭を起こすと、周りにさっきの連中がいる。安どの表情だ。
「お金はもらえなかったけれど、君には勇気をもらった。君の雄姿を見て気づかされたんだ。お互い業種は違うけれど、みんなで
「そうそう、『融資』だけにね!」
「ブハハハ!!」
なるほど。つまり私は勝てなかったのだな。しかし、拝金主義陣営にもあれほどの雄姿がいるとは驚きだ。またどこかで剣を交えることになるだろうな……
その日、私は彼らにスープをごちそうになって、そのまま基地に帰還した。
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