第6話 自由か、死か!構造的暴力を破壊せよ!

 

 「闘争の意志を絶やすな!!」

 ケナイント元主席が満身創痍の体に鞭を打って、大声で私に檄を飛ばす。

 「戦わなければ、この者たちは一生奴隷のままだ!この構造化された暴力から抜け出せないまま、仕組まれた無知から抜け出せないまま、社会に消化されてしまうぞ!!管理主義社会が復活すれば、一人一人が殺された個性を取り戻せる。」

 

 私の脳裏にある言葉がよぎる。

 『自由か、死か。犠牲になることを惜しむな。不死技術というのは、ただ生きながらえるための技術ではない。最高の死に場所を見つけるための技術だ。』


 無地のカードに語録とプロパガンダ・ポスターの絵柄が浮かぶ。

 「獲得セーヴェンス!管理主義カード!自由か、死か!!同胞の為なら命を投げ出そう!!」

 

 「こんな俺たちのために、命を投げ出してくれるのか……?」

 「戦えば、またあの頃に戻れる?」


 「俺が死んでも、お前たちが自由になれるってんなら……」

 「ハハ、もともと死んでるみたいな命だったしな……」

 

 傷だらけになりながらも、同胞の為、立ち上がろうとする私たちを見て、人民の心が共鳴する。


 「おいおい待て待て、俺が倒されたら、誰がお前たちに給料を払うんだ!?」


 「うるせ~~~~~!!拝金主義者リュイナシュルムは死ね~~~~~!!」

 どどどど、すさまじい地響きを上げて、チャリンコーが包囲される。

 「いやッ、心変わり早ッ!?」


 「『御託はこれまでだ』!!カード・スキャン!!」

 二本の指でつかんだカードをデバイスにスキャンする。


デバイス:「ケナイント思想、認識しました。装備を展開スラストします。」


 「いまだ!元凶をやっつけろ!!」

 「俺たちでつかみ取るんだ、自由を!!」

 

 「いけ、ジェニム・ロット!!闘争の槍を!!」


 管理主義エネルギーで満ち溢れていく。うおおおおおおおおおおおお!!

 「管理主義持続闘争前進解放槍!!」


 「や、やめろーーーーーーーーーッ!!」

 

 雷の槍がチャリンコーを突き刺し、大爆発する。

 ドゴーーーーーーーーー!

 私や包囲していた民衆が爆風により吹き飛ばされる。


 ……。

 煤だらけになった人民が、立ち上がる。満面の笑みを浮かべて、お互いを見つめている。どうやらみんな、無事のようだ。

 

 「待って!」

 ケナイントが立ち上がり、その場から去ろうとする。


 「ありがとう、君もだよ!!」

 「勇気をくれた!」


 ケナイントは自分の正体も明かさずに、ただ一言残して去っていった。

 「忘れるな。闘争の心、団結の心を。」

 彼女こそ、真の騎士だ。銀河の騎士、またどこかで共闘できるだろうか……?


 構造的暴力を自らの力で打ち砕いた人民たちに、私は話を続ける。

 「メシの話だが、管理主義プロパンガンダポスターがレジスタンスたちの手でよく貼られているだろう。書いてある経路を伝って、レジスタンスに加わるといい。自給自足で活動しているから、そこに加わって戦うんだ。」


 「おっしゃ!」

 「いっちょやってやるか!」


 「私は遊撃隊として、個人で行動しているからまたどこかの戦場で会おう。」

 そう言うと、私は彼らに背を向けてその場から去った。


 「また会おう!」

 「次は最初から味方として!」

 背中から歓声が浴びせられる。毎度のことだが、「生きがい」だ。拝金主義のそれとちがってこれは魂に響く真の「生きがい」なのだ。


 「わ、わしの出番は!?」

 あ、老人、起動していたか。 

 

 「いや、だってアオン・シオンのくだりから拗ねてたじゃん。」

 「拗ねてたんじゃないわい!!ただ、一度会って確かめなければならん。それだけは確かじゃ。わしは、自分で見たものしか信じんぞ!!」

 さて、アオン・シオンとお目にかかれるのはいつになるだろうか。このまま拝金主義モンスターを倒していれば、ボスクラスの人物が出てくるはずだが……

 

 

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