第21話気分上げるぞ大作戦!
「香絵ーっ」
教室に入ると、あたしを呼ぶ夏美の大きな声に手を振って応える。
「お帰りっ。
ねっねっ。烏丸先輩ってどんな人?」
深雪。みんなにも話したんだ。
興味深々な夏美と、愛梨につい首を傾げちゃう。
「どうって言われてもな」
悪いヤツではないけど、いろいろ変わり者だし。
それをそのまま伝えていいものか。
「んー。
んー。
んーーー。
……いい人だよ」
「なんか、ひねり出したわね」
だってぇー。
そりゃ、夏美のツッコミも入るよね。
「いいの。
学校来るのが楽しみになるもん」
深雪がプイッと窓の外を見る。
そっかぁ。学校に登校する活力みたいなものね。
「分かるわぁー。恋こそ女の子を輝かせるのよ」
「夏美は目移りし過ぎなのよ」
「いっぱい好きな人がいればそれだけ楽しいじゃない」
愛梨のツッコミにもめげない。
「それはちょっと違くない?」
騒がしい教室の中でも一層バカ話。
ここは楽しい。
うん。
最近忙し過ぎなんだよ。
なんだか楽しくない。
仕事は危うく失敗するところだし、イチも怪我しちゃうし、リカコさんには悲しい思いさせちゃうし。
次の仕事は来週の木曜日だったよね。
よし、気分上げるぞ大作戦!
……何しよっかなぁ。
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「気分上げるぞ大作戦?」
ジュニアが机に頬杖をついてあたしを見上げる。
今日は火曜日。
火、木、金曜は美術部で活動している深雪を教室で待ちながら、イチとジュニアにアイデア募集。
「うん。
最近雰囲気よくないし、楽しい事したいなぁ。って。
カイリとリカコさんも巻き込んで、あんまり疲れない事」
「疲れない事ね」
ん。イチはあんまり乗り気じゃないみたいだな。
「あっとと。忘れないうちに。
次の訓練日は
リカコさんやみんなに心配かけたくないから、しばらく本気で頑張るっ」
グッと力を込める。
イチとジュニアが顔を見合わせて、あたしに視線を移した。
「なんか考えておくよ」
イチの声にもちょっとやる気が出てくれたかな。
「うんっ」
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