第3話
白馬に乗ったお姫様が
お婿さん探しの旅をしています。
黒馬に乗ったジーンズ姿の若者が現れて
「こんにちは~!お姫様」
「こんにちは。
どこかでお逢いしましたかしら?」
「会うのは初めてですよ、
あなたが綺麗なお姫様だから 声を掛けました」
若者は
お姫様の手にキスを捧げ
「白馬ですね、すごい」
と言います。
「あなたの黒馬も素敵ですわ」
「でしょう!滅多に手に入らない名馬なのですよ」
「それはそれは」
「お姫様、私と結婚しませんか?」
お姫様は、若者をまじまじと見ました。
「つやつや光る美しい黒馬に乗ったあなた、
ジーンズをお召なのね。」
「このジーンズは、グッチの一点物です。
私は商人です。
とてもお金持ちですよ、
その辺の王子様よりずっとずっとお金持ちです」
なるほどよく見ると全身にお金がかかっている風情です。
髭は脱毛済だし、お肌も爪もピカピカです。
体形もシュッとしていて、お金がかかっています。
高級腕時計が両手首に輝いています。
「どのようなご商売をなさってらっしゃるの?」
「無いものを売っています!」
若者は胸を張りました。
「在る物で商売するのは、
もう古いのですよ, お姫様。」
黒馬をグッと幅寄せしてくると
高級香水の香りが押し寄せてきました。
「お姫様、中華はお好きですか?」
突然のクエスチョンです。
お姫様の頭の中にも
クエスチョンが飛び交いました。
中華人民共和国のことでしょうか?
この人は 中国人なのでしょうか?
それとも 反中国人なのでしょうか?
もしや 中華料理のことでしょうか?
プロポーズと中華の関係は???
お姫様が黙っていると
「じゃあ、焼肉にしましょう!
最高級のシャトーブリアンを出す店を知っています。
予約が無いと入れない店ですが
常連なので大丈夫です」
お姫様が黙っていると
真っ白にホワイトニングした歯を見せて笑いました。
綺麗に日焼けさせた顔のなかで
凄いコントラストです。
「大丈夫ですよ。
ご馳走しますから」
お姫様の気持ちは決まりました。
「お腹は空いていませんの。
そして結婚はご遠慮します。
ごきげんよう、お金持ちなあなた」
若者は後ろから大きな声で言いました。
「記念に一緒に写真をとりましょうよ!」
「写真を、ご商売に使いますの?」
「そ~んなつもりじゃないですよう(笑)。
でもインスタに掲げていいですよね?」
流石、
無いものを売ってお金持ちになる若者です。
「ご縁が無いようですわ。さようなら」
お姫様の旅は続きます。
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