第18話 団員たち

調査団の"アジト"に着いた俺たちは、メンバーのことについて教えてもらった。




まず、奥でパソコンを眺めていた男性は守屋類もりやるいと言い、大学4年生で半導体の研究をしているらしい。ボサボサの髪を気怠そうに搔きながら煙草をふかしているその姿はとても20代には見えない。守屋さんは四六時中このアジトでパソコンと睨めっこしながらこの現象の原因などを探っているが、中々うだつが上がらないとのことだ。




そして、畳で正座をしながらゲームをしている2人組。眼鏡をかけている赤髪の少女ははたのあという名前で、現在小学5年生でループ以前から絶賛不登校中。ランドセルを腿の上に乗せてゲームをするのが彼女の至福の時間らしい。そして、幡ちゃんと向かい合って同じくゲームをしているのが餅沢充もちざわみつるという男の子で、幡ちゃんと同い年で幼馴染らしい。そして、幡ちゃんと同じくゲーム好きだが、学校には毎日元気に通っているらしい。髪は綺麗に七三分けになっていてお坊ちゃん感がかなりある。……こんな時間まで家に帰らなくて大丈夫なのだろうか?




また、真ん中のソファの端でぐったりと寝ているのは相羽潤葉あいばうるは。ループ前に美容師の専門学校を辞めて以来ずっとアルバイトでその日暮らしの生活を送っているらしい。黄色のカチューシャに青髪のショートカット、そしてヨレヨレのTシャツには"NEET NEEDLE"とある。




そして、同じくソファで座ってスマホをいじっていたのは名護優花。ボーッと天井を見つめていたのは町田宗介。また、部屋の隅で立ち話をしていたのは神楽坂美玖と田中花子。……この4人は会ったことがある。内澤が白樺公園に集めた、シルバーバーチのメンバーだ。つまるところ二重所属していたということか?




「あのすいません、俺たちが会ったことある人が4人ほど……」




「……ああ、だろうね」




「……え?」




「そんで私は、まあ副団長的なアレだ。この調査団って組織は私と樋口がループ開始初期に作ったんだ。まあ、調査って言っても……私たちが生活していく中でこの現象の謎を解き明かすヒントを見つけたら共有するってだけだ。今のところはね。あと、私の名前は内澤七菜香うちざわななかって言うんだ、よろしくね。私は取り敢えず君たちを皆に紹介してくる。その後、樋口から色々と聞くこととするよ」




「……内澤?」




それを言った後、言葉通り七菜香さんはその場から去って調査団のメンバーに俺たちのことを紹介しに行った。内澤七菜香……内澤丸九と名字が一致しているのは単なる偶然か? "内澤"という名字も別に珍しいわけでもないが……。




「なあ、内澤って名字……」




相田が言った。




「ああ、俺もそう思う」




思ってることはおそらく同じだ。ただの勘だが……。




疑い深くなることは大切だと、ポケットの中の銃が教えてくれる。だが、本人にそれを聞くのは何だか危ない気がする。よって、七菜香さん以外の調査団メンバーで、一番信頼できる人に聞きに行く必要がある。名字の件以外にも、知りたいことが多いからな。




「……名護さんに聞きに行こう」

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