第17話 調査団

「おお、何か連れてきてるね、樋口」




出てきたのは、白衣姿の女性だった。長い黒髪は腰まで届きそうなほどで、年齢は20代後半ぐらいだろうか。美女だ。




「これから調査団に入ることになる2人だ。そして、こっちの方は蝶の継承能力を有している」




樋口さんが俺の肩をポンと叩いて言った。……調査団?




「まさか……すごい偶然だ。……まあ、取り敢えず案内するよ、説明は後でしてくれたら良い」




そう言って女性は俺たちを連れて閉店後のレストランの奥の方へと連れて行った。さっき言ってた調査団とかいう集まりが樋口さんとこの女性の2人だけの集まりだったら内澤が作ったシルバーバーチの方が集まっていることになるが……まさかそんなことは無いだろう。




「ここだね」




奥の赤い扉の前に着いた。何かの倉庫の扉か?……だとしたらこの中で一体何をするというのだろうか?




「あの……こんな所で一体」




「まあまあ、刮目してご覧よ」




女性はドアを開けた。すると、そこには地下への長い階段があった。所々に懐中電灯がガムテープで雑に取り付けられているが、全体的に薄暗くて奇妙な雰囲気が漂っている。階段を下がり、光が射している方へ近づいていく。




「さあ、ここが私たちが日々脳みそをこねくり回してる場所さ。調査団へようこそ!」




女性の声とともに階段最下部の部屋に着いた。




「何だ……これ?」




「すげえ」




白黒のタイルが床、壁、天井へと張り巡らせられ、蛍光燈の光が眩しいほどに目に届く。部屋の奥の方には細長い木製のテーブル、上にはパソコンが何台も置いてある。それを見ている人も1人いる。そして、真ん中に置いてあるどデカく赤い円型のソファに3人くらいが座っている。また、手前の右隅の方に6畳くらいの畳が敷いてあり、そこには2人くらいが寝っ転がって喋っている。左隅には同じく2人が立ってボソボソ喋っている。




……そして、この中に見知った顔もいる。




樋口さんと案内の女性を入れて10人。俺と相田を入れたら12人。これが……




「調査団だ」




樋口さんが言った。

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