第14話 邂逅
「俺も……特に知らないです」
「……!」
相田は……俺を守る嘘をついた。後ろを振り向くと、俺の顔を見て小さく頷いた。……どうやら俺は一命取り留めたらしい。
「まあ、そうですよねえ。片っ端聞き回ったってねえ……はい、ありがとうございました」
そう言って、小太りの警察官は「次はあそこらへんかな……」などと呟きながら手帳に何か文字を殴り書きをしている。というか、背が高い方は何にも喋らない……この人全然働いてないな。立派な警察の格好はしているのに……随分高そうな金色の蝶の柄が入ったボタン付けてるし……ん!?
〇〇〇〇〇
何だこれ……?突然視点が変わって……"俺が俺自身を見ている"!?自分で自分のことを見るなど当然不可能なはずなのに、何故か鏡を見ているかのように俺と俺の後ろにいる相田を見れている。というか、腕や服を見ると……これは、あの背が高い警察官の"視点"か?確か、内澤と話した帰りにも同じことがあった気がする。それに、俺の眼の色が……
〇〇〇〇〇
「翡翠……」
「ん?何か言ったか、
「いや……」
あれ、いつの間にか元に戻ってる。これも前と同じだ……。そして、元に戻る直前……俺の眼の色が緑色になっていた。あの背が高い警察官……どうやら樋口って名前らしいが……その人が"翡翠"って呟いていた気がする。もしかして俺の眼のことを言ったのか?
「よし、じゃあありがとうございました……おい、お前も挨拶しろ」
「いや、私はここで彼と話したいことがある。彼は昔からの知り合いでね、遠い親戚でね。今日の分の聞き込みは終わったし、構わないだろう?」
「……え?」
「おお、そうだったのかよ。まあ、良いけどお友達との時間をあんまり邪魔してやるなよ」
そう言って小太りな警官は家から出ていった。玄関で樋口という警官が困惑する俺と相田を気にすることなく立って俺の方を見ている。……何なんだこの状況?何なんだこの人?
「あの……何の用ですか?親戚でも知り合いでも無いですよね?」
「ああ、そうだ。この時間を設けるために稚拙な嘘をついてしまったことは詫びよう。だが、君と話すことがあるというのは事実だ」
「じゃあ……話すことと言うのは?」
そう聞くと、その警察官は少し息をついた。その後、口から出てきたのはアニメや漫画でしか聞いたことのないセリフだった。
「……察するに、君には自覚が無いようだが……君は、選ばれし者だ」
「……へ?」
「私と来てくれ」
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