第7話 裏
朝、目が覚めたらすぐに時計の日付を確認する。
……6月9日。どうやら、昨日のことは1日だけの悪夢ということでは無さそうだ。ループは続いている。正直頭がおかしくなりそうだったが、シルバーバーチの人たちがループを19回経験してもなお普通に振る舞っているのを見て見習わなければと思った。というより、ここで正気を失って暴れたところで何も生まれないのだ。
○○○○○
今日は休日だが、何となく外に出かけることにした。家でじっとしても落ち着かないからだ。最寄りの駅に着いたところで、メールを送る。相手は内澤だ。
☆☆☆☆☆
昨日は初対面の俺に色々な話をしてくれてありがとう。
俺は取り敢えず今起きている不可解な現象を時間をかけても頑張って受け入れることに決めたよ。
内澤も、多分受け入れられないことが多く抱えていると思う。
もし、俺に話せることや協力して欲しいことがあったらいつでも言って。
待ってます。
☆☆☆☆☆
俺は、案外お節介な人間らしい。これは兄譲りなのだろうか、それとも……母譲りか?……まあそんなことどうでも良いけど。
ピロン。
メールを送った直後に着信音が鳴った。内澤からの返信だ……早いな。見てみると……
☆☆☆☆☆
メールありがとうございます。
実は僕も相談したいって思ってたっす。
東の廃工場とかで会えたりしないですか?
そこで話したいっす。
☆☆☆☆☆
あれ……意外にすんなりに会うことになるとは、正直予想してなかった。だけど、話を早く聞くに越したことはないしな。これで、内澤が何度も自殺を繰り返す理由が分かる。……てか、何で東の廃工場なんだ?ファミレスとかで良いだろうに、人がいない場所がおそらく好きなんだろう。
「あれ?あんた大山川……って人だよね?昨日公園にいた」
携帯から顔を上げると、昨日白樺公園で会った金髪の女性。確か、名前は名護優花だ。
「ああ、ども」
「何してんの?」
「昨日、公園にいた内澤丸九君と会おうとしてます。で、メールで何か待ちあわせして……」
「やめときな」
俺の言葉を遮って名護さんは言った。突然の冷たい声に驚く。その声に、冗談めいたものは感じられない。
「……え?何でですか?」
「殺人鬼だからだよ、そいつが」
「……は?」
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