第5話 内澤丸九
その後、内澤と家が近かったこともあり、一緒に帰ることになった。道中、俺が知らなかったシルバーバーチのメンバーのことを教えてくれた。
まず、金髪の女性は
次に、スーツを着ている男の名前は
そして、茶髪の美少女は
「……どうやったらこのループから脱出することができるんすかねえ」
別れ際、内澤は溜息混じりに言った。正直、このループから脱出する方法なんて見つかりようが無いのだが……。
「バタフライエフェクトってあるじゃん?」
「ああ……小さな行動の違いで、大きな結果の違いをもたらす的なヤツっすよね?」
「そう……だから俺が今回でループに気づいて、白樺公園に来たってことで何か変わったりとか……どうかな?」
もはや苦し紛れだが、そんな小さな希望にすがるしかないだろう。……何か知っている人はいないのだろうか。シルバーバーチのメンバーの人も内澤以外完全に諦めている様子だし。
「じゃあ……今回は2ヶ月後も生きることにしますかね」
「……生きる?」
「僕、毎回白樺公園の集まりが終わると自殺してるんすよ。……生きたくないんで」
あまりにも衝撃的すぎる言葉に空気が凍る。言葉も思うように出てこない。
「……え?」
「というか、元々色々嫌になってたんすよ。なんで、ループとか関係なしに7月くらいに自殺したら、何故か6月8日になって目が覚めてて。そこからループしてるって気がついて……公園で集まったりして……何か僕も変われんのかなって思ったら何も変わらなくて……だから、ずっと死んでます。何度死んでも、6月8日に生きてたならループ後に戻るんで」
「それは……何で?」
「……さあ、自分でもよく分からないです……すいません、変な話して。……これ、僕のメールアドレスなんで良かったらどうぞ。じゃあ、帰ります」
そう言って、足早に内澤は去っていった。俺の手の中には、内澤のメールアドレスが書き殴りされたノートの切れ端がある。俺には大した正義感もないし、頭も別に良くない。行動力もない。……だけど、これは流石に何とかしないといけないんじゃないのか……?
俺は、切れ端を強く握りしめた。
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