第2話 まるぴと野良
俺はお掃除ロボット バルーンに乗って縄張りを出てきてしまった。
それでも後悔はしていない。
俺の縄張りは今、メスの飼い主がいるから、そいつに任せる事にした。
縄張りからあまり離れない所まで来た俺は、よく話をする「野良」と呼ばれている奴を探している。
探すのは猫相手だから、いつもの場所に居ると思うんだが…。
キジトラの猫が昼寝しているのを見かけた俺は、そいつに近付いて匂いを確認した。
“いつもの野良のやつか、やっぱりここにいたか”
「よう、野良」
「兄貴…」
「俺は今日、この相棒に乗って『幻のカリカリ』ってやつを探しに行くんだが、何か新しい情報入ってるか?」
「いえ、兄貴、すんません。新しい情報は掴んでないっす、それより兄貴の相棒、いつ見てもカッコイイっすね」
「これか?これは俺の相棒なんだから当り前だろ」
「あっしも探してて、中古品とか見に行ってるんですが、なかなか良いのに巡り合わなくって…いやー、やっぱそれ良いっすわ、羨ましい」
「今度、俺も一緒に探しにいってやるよ、それより、おまえはどこで『幻のカリカリ』ってやつがあるって聞いたんだ?」
「はい、あっしも他の奴から聞いたんでよく知らないんですが、どうやら『いせかい』という単語が出てくる場所らしいです」
「なんじゃそりゃ」
「あっしも最初はそう思いましたが、人間の世界には『いせかい』って所に行けたり、『ねっと』という場所があるみたいで、そいつも兄貴みたいな人間と暮らしてる猫なんで、そいつが言ってた事なんですが、兄貴は人間がそう話しているの聞いた事ありますか?」
「うーん、人間の言葉って俺らとは多少違うからなー難しい所もあって俺はそんな話は分からねーな」
「そうですか」
「まぁとりあえず、人間が行ける場所なんだな」
「そうみたいっすね」
「なかなか困難な旅になりそうだな、他をあたってみるか、じゃあな!」
「はい、お役に立てずにすいません」
「いや、気にすんな」
俺は再び相棒を操作した。
野良と別れた後、俺はとある場所を目指す事にした。
“次は「モモ」の所に行ってみるか”
「モモ」という名前の猫は美人なメス猫で「スナック 年増」と書かれている看板付近にいる事が多い猫で、実際モモは猫用スナックのママをしているから顔が広い。
その為、情報を持っているかも知れないからな。
第二話 終わり
お掃除ロボット バルーンに乗った猫 まるみ @marumi-tama
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