1-6. part.Y:幼馴染みのお姉さんが突然××××してきたんだけど
令ちゃんが煙を吐き出すと、すぐに山野さんは僕にヘルメットを被せた。大袈裟だなぁって思ったけれど、必要だった。何せ、そこからが急展開だった。
まず、最初に追い付いてきたひとりが、こちらに銃口を向けてきた。と同時に、令ちゃんがぶちギレた。
「ウチの子に、何物騒なもん向けてくれとんじゃあああ」
叫ぶと同時に、首がびゅーんと飛ぶように伸びていって、バイクもろとも、男の人を丸飲みにした。
首が伸びて、人を丸呑みにした。
……。僕、令ちゃんの首が伸びることも、人を呑めることも知らなかったんだけど。えぇ……。
ねぇ。幼馴染みのお姉さんが、突然、首を伸ばして、人間をバイクごと呑み込んだのを見せられた僕の気持ち分かる?
ラノベみたいな経験したいとは思っていたけれど、別にこういうのは望んでない。
その後も、まるでフィクションのような有り様だった。
追手の何人かは鞭のような首に吹き飛ばされ、何人かは締め上げられた。何人かは海藻のように黒髪を
とにかく、令ちゃんの独壇場だったことは間違いない。
気づくと、道路には泡を吹いた男たちが腰を抜かして転がっていた。
「ふぅー…スッキリしたぁ…」
車を路肩に停めると、さっぱりした顔で令さんは運転席から降りた。
「あれ?芳生、ドン引きじゃん!先輩、ちょっとは説明してくれたんじゃないの?!」
呆然としたまま、山野さんの方を見上げると、鼻の頭を掻く彼の目が泳いでいる。それを見た彼女は呆れた顔でため息をつくと、僕のことをまっすぐ見つめた。しゅっと切れ長の目が嬉しそうにくりくり輝く。
「…あんなぁ。私なぁ、ろくろ首やねん」
何でやねん!
――って、ホントの関西人なら、ここで言うのかなぁって考える僕の前髪を、風がぴゅうっとそよがせていく。
今日は星が一段と綺麗だ…。
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