幕間:それは蓮の実

 光は注ぐ。天から人へ。

 水は流れる。上から下へ。

 いつもはそうで。前から今も。


 深いは苦しく、貝は硬い。

 殻を剥くなら、自分以外。

 出来れば、のみ食べていたい。


 食べれば、夢見る理想郷。

 何もせずとも、生きていよう!


――なんて。

 いつも物に恵まれて、誰もが心を満たされて。

 らくに包まれ、は薄まる。


 九の鳥来るなり、愛をうたう。

 かどの立たないぬるい午後。

 水飴みたいに甘ったるく、泥沼みたいに心地よい。


 そんな地獄を夢見てる。

 泥からづる夢は見ない。


 こんな地獄に憧れる。

 澄んだ水には望まれない。


 私の名前は“誰でもない”。

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