五、川端あかり

「へー! そうだったんだ」


 私は、太郎くんの話に合いの手を入れた。


「そうなんです。僕は、学校に行けなくて。中学校から行けなくなったんですけど」


太郎くんが言葉を返す。


「あれ? でも、いまは大学に通ってるんだったよね。高校に行かないで、どうやって大学に入ったの?」

尚也くんが質問をする。

「太郎くんは、高卒認定試験を受けたのかな?」と、れおさん。

「はい。高卒認定試験を受けて、ほぼ独学で、大学に入りました」

太郎くんが答えた。


「ちなみに、通信制高校とかは行かなかったの?」

「うーん。通信制高校も、行けなくて」

「そうだったのかあ」

「太郎くんはさ、やっぱり、人付き合いとかがしんどくて、学校に行けなかったの?」と、私は質問した。


「まあそうですね。敏感体質というか、人のちょっとした表情の変化、声のトーンとかに、一回一回すごく一喜一憂してしまうタイプで」

「あー。なるほどね……」


 パチ、パチ。パチ、パチ。

 焚き火の炎は、相変わらず、潔い音をたてて燃えている。ただ、少し、勢いが衰えてきた気がする。そろそろ、新しい薪を足す頃合いかな。そう思い、足下に積んである薪を手に取った。

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