21話 佐藤仁
ここは、三国国境近くのある空き家。
俺は、そこにいるイルマを助ける為に、ここに来ている。
「これで、どうすればいいって言ったっけ。確か、裏口二階の窓から入って、様子を探る、だったよな。」
今は、エリーゼ、リョースケ、ジーナ、ジュンジュン、セイイチの仲間たちとは別行動をしている。
「焼き破り」と言う窓を熱して割る方法をする為、火を窓に当てて待ち、窓が割れたら侵入する。
焼き破りでは、あまり大きな音がしない為、焼き破りは空き巣犯等が重宝する方法である。
「空き巣犯の気分になるな……。」
中は、特に何の変哲も無い寝室だった。
クローゼットが置いてある。
クローゼットを開けてみると、中には完全な学生服がハンガーに引っ掛けてあった。
やはり日本人だよな。
「普通だな。一旦外に出ているか。」
俺は外に出ると、キャンプしていた拠点に戻った。
十分ほど待つと、ジーナが戻ってきた。
「収穫なし。」
残念だ。まだイルマのヒントは無いか。
更に十分ほど待つと、エリーゼとセイイチが戻ってきた。
「俺らも、収穫なしだ。」
「はい。誰もいませんでした。」
「お疲れ。」
追加で十五分待つと、ジュンジュンが帰ってきた。
「何もなかったよ。(キラー)」
「リョースケ遅い。」
「ヒントがあったか、捕まったかだな。あと十分だけ待つとするか。」
十分後……。
「帰ってこないな。そろそろ行くか。」
「ああ。そうしよう。グループに分かれて行こう。」
セイイチが案を出した。
グループのほうが良いか。もしもの時に、一人が囮になって別のグループに伝えられるしな。
「俺とセイイチとジーナ、サトシとエリーゼでいいか?(キラリ)」
「「「「異議なし!」」」」
早くイルマを救出しなければ。
俺達は再び空き家に侵入する。
いや違う!侵入ではなく潜入だった!
「おいおい。お前らまた侵入すんのかよ。」
そこに佐藤仁がいました。
「また」って、俺達のさっきの侵入……じゃなくて潜入バレてたのか⁉
「蒼き炎よ、炎の真意よ。我が意に応え、具現せよ。全てを焼き尽くし、周囲を灰燼に帰せ!<蒼炎>!」
蒼い炎が佐藤仁を包み込む。
「<氷結界>。」
だがこれではダメージを食らわないことは分かっている。
俺は<聖剣エクスカリバー>を持ち、目の前に斬りかかっていく。
「食らえ!復讐だ!」
佐藤仁は咄嗟に腰の剣を抜き、横にして受け止める。
『ガキィィィン!』
甲高い音が鳴り響き、火花が散る。
「<魔法聖剣>!」
エリーゼの技を使う。
「<邪悪剣>!」
邪悪な力と聖なる力が鎬を削り、斬り合う。
「<複合>!」
<複合>二つ以上の能力を複合させる能力だ。
今の実力だと、二つが限界だが。
「何⁉そんな能力聞いたことないぞ⁉」
「<神聖雷剣>!」
<魔法聖剣>と<魔法剣・雷>を<複合>で複合した能力だ。
更に、使っている剣が<聖剣エクスカリバー>であることもあり、かなりの切れ味になっているはずだ。
「何て切れ味だ……。切れ味お化けかよ……。」
目には見えないが、相手の剣は削られて来ている。
「どうだ!(ドヤ)」
「だがこれで終わりではない、これからが始まりだ。出でよ、我が相棒!<魔剣グラム>!」
魔剣グラム⁉俺が持っていたんじゃないか?
<魔法袋>を覗くと、<魔剣グラム>は無くなっていた。
<魔剣グラム>と言えば、<聖剣エクスカリバー>と対になる、とたまに言われる北欧神話の剣じゃないか!
「<魔剣グラム>……。」
「参ったか?何ぶつぶつ喋ってんだよ。」
<蒼炎>の詠唱です。
「不意打ちの<蒼炎>!」
「<防御障壁>。汚いな。」
次は<雷雨>の詠唱をする。雷の雨だ。
「からの<雷雨>!」
雷の雨が降り注ぐ。
「<防御結界>。おい汚いな⁉」
「<防御結界>。汚くても死ぬよりはマシだろ!」
「お前もしかして邪神王教か世界神教の人じゃないの?」
「私とジーナさんは世界神教ですが、残りは無宗教ですね。」
「更に<火炎嵐>!」
皆が話している内に詠唱を進めていた、<炎嵐>の魔法を佐藤仁に向けて発射する。
「<超電磁斧撃砲>。」
ジーナも力を溜めていた斧で攻撃をする。
俺は詠唱をすると、攻撃を放つ。
「<電磁砲>!」
岩の塊を放つ。
「これはっ!レールガン⁉」
……違います。
怠いから騙しておこう。
「その通り!」
佐藤仁には、<電磁砲>を防ぐ方法が無く、大人しく<電磁砲>を受けた。
電磁加速なんかしたら魔力がなくなるので、これはただ<電磁砲>と叫んで岩の塊を投げただけだが。
これで魔王幹部に効くのか、否か。
ただの岩塊を投げるだけの攻撃。
「ぐはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁ!」
流石の魔王軍幹部、一撃で死にはしなかった。
「どうだ⁉」
「お……前。騙……したな。」
「<超電磁砲>!」
こっちは本物である。
俺は魔力枯渇によって倒れたが、佐藤仁は死んだようだった。
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