12話 作戦と対抗法

 エリーゼの家で、作戦会議をすることになった。




「作戦だが、今のところ案はあるか?」


「<東方黄金竜帝王イーストドラゴン>の調査結果があります。」


 俺はエルに聞いて知っているが、もう知っているなら頼むな、と言われそうだったので知らないことにした。




「<東方黄金竜帝王イーストドラゴン>は、オリハルコン並みの硬さと、ミスリル並の魔力吸収効率を誇る4723歳の金の竜らしいです。全長は約70メートルです。翼長は約100メートルです。」


「……勝てないじゃないか。」


 リョースケ、賛成だ。


「その点に関しては、ジーナ。お前の斧を改良して火力を上げたい。いいか?」


「別にいい。」




 もう設計図はできている。


 ジェットブースト機能を付ける予定だ。重さも加重する。


 あと感電させて動きを止める機能とか。




「私、<聖封印>の能力を持っています!もしかしたら、これで動きを止められるかもしれません!」


「分かった。エリーゼは暫く<聖封印>を鍛えてくれ。」




「俺はどうする?」


 ジュンジュンは速度を活かしたほうが良いだろう。例えば。


「速度で翻弄して、攻撃をしそうな部位があったらそれを攻撃して止めてくれ。一番重要な、ジーナの命綱だ。俺も援護するが、気を抜かないでくれ。」


「了解!」




 他に足りないこと……。




「ドラゴン対策用の武器があるわよ?」


 イルマが詳細を教えてくれた。




名前:竜殺しのドラゴンキラー:ソード


階級:古代級


能力:竜特攻ドラゴンキラ―




 的な武器と予測できた。


 因みに予測したのはエルだ。




 <竜特攻石ドラゴンキラー:ストーン>や、<竜特攻鉄ドラゴンキラ―:アイアン>という素材が使われているという。


勿論これはエルの予測だ。




「どうやって入手する?」


「家に家宝として伝わっているらしいのよ。」


「そんなに貴重なもの、使ってもいいのか?」


 恐らく、かなり貴重と思われる。だって家宝だもん。




 ……イルマの家ってどうなっているの?




「大丈夫よ、売ろうとしていたから。」




「イルマの家ってどうなっているのだ⁉」


「ギルドマスターが住んでいるわね。つまりギルドマスターの家よ。」


 何ぃ~!そういえば、ギルドマスターの家族だった!




「イルマってすごいな。」


「別にすごくないわ。生まれつき持っていたものだから、人に誇っていいものではないと思っているし。」


 そう思えるところが、すごいのだよ。(キラーン)。


 でも恥ずかしいから言わない。




「全くサトシさんは本当にイルマさんのことが好きなんですね。こんな時なのに喋って……。」


「俺は確かに「友達」や「仲間」としてならイルマのことも、ジーナのことも、ジュンジュンのことも、好きだよ。」


「なんで僕出てこなかったの⁉ねえ!」


 リョースケが喚いている。お前はエリーゼに媚びを売りまくったツケが回ってきたと思え。




「そんな!私は、仲間にもふさわしくないって、そういうことですか⁉」


「なんで僕、放置なの⁉ねえ!」


 リョースケ、ホントうるさい。




「違う!エリーゼはなか「なんで僕を無視するの⁉ねえ!」」


 俺が言いたかったのは仲間以上の関係になりたいって!




「もういいです。早くイルマさんの実家に<竜殺しの剣《ドラゴンキラー:ソード>を受け取りに行きましょう。」


 と言ってエリーゼは外に出て行った。




 また嫌われた。こんなつもりじゃなかったのに。


「サトシ……。」




「皆、行こう。」




 イルマの実家……。


 そこは、屋敷だった。




「広そうだ。」


 横には枝分かれした道が沢山ある。道がないところには沢山の草が植えられ、屋敷の前には噴水がある。




「イルマお嬢様、お帰りですか。」


 執事のような男が話しかける。ここから、俺達の歴史が動き出すのだった。




 王宮にて……。


 玉子が言う。


「そろそろ、彼らを<東方黄金竜帝王イーストドラゴン>退治に動かしたほうが良いのでは?」


 王が答える。


「彼らはそろそろ出発すると言っておったぞ。今週中に<東方黄金竜帝王イーストドラゴン>退治に出る、とも言っておったな。急かさなくてよい。」




 数百年前のとある場所にある魔王城にて……。


「<勇者>なんてぶっ倒してやる。」


 それを不安そうに見つめる、魔王の息子、ハルバルドがいた。


「父様、<勇者>を倒すのは止めませんが、攻撃などにはちゃんと備えてくださいよ?」




 この後、ハルバルドに他の人間の魂が憑依してしまうことをこの魔王、インフィ=イーフルは知らない。




 俺たちは、イルマの屋敷の客間で、<竜殺しのドラゴンキラー:ソード>を見せてもらった。


 <竜殺しのドラゴンキラー:ソード>はオレンジに光り、輝いていた。刀身は銀色、持ち手は黒の直刀だった。




《<竜特攻鉄ドラゴンスレイヤー:アイアン>が使われています。予想通りですね。でもここはこういう作りで……ここはこう、これは考え付かなかった……。》


 エルがいろいろと分析している。これを元に改良して日本刀でも作ってもらうか。




「綺麗……。」


 エリーゼがうっとりと<竜殺しのドラゴンキラー:ソード>に見惚れている、それこそ彼女の言う通り綺麗な、エリーゼのその姿に俺は見惚れてしまった。




《青春していますね……。》


 俺は25だ!


《www》


 笑うな……。




 すると、エリーゼは俺の視線に気づいたのか、こっちを振り返る。


「何ですか?」


 嫌われてる⁉予想はしてた……。


 少し棘のある言い方で言った彼女は、直ぐに<竜殺しのドラゴンキラー:ソード>に向き直る。




「いや、何でもないよ。エリーゼがきれ……。「格好いいね、やっぱり。」」


 リョースケが遮る。


 ……こいつは故意にやっているのではないか?




「そろそろ行くか。イリアさん、ありがとうございました。」


 イリアとは、イルマの父親の名前だ。




 こうして、ついに俺たちは<東方黄金竜帝王イーストドラゴン>と戦うことになったのだった。


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