13話 対峙

 俺たちは森の中を進む。




「オークよ!」


 オークが現れた。




 オークと言っても、そこらのRPGのように雑魚モンスターというわけではなく、人を襲って食べたりする、強い性欲モンスターだ。




「<火炎雨>!」


『ギャウウウウウ!』


 弱ったところをリョースケが、<火炎剣術>で仕留める。




「ゾンビの集団……。昼間なのに。」


「森の木で、陽光が遮られているからと、僕は予想する。」


《半分正解です。<東方黄金竜帝王イーストドラゴン>に操られているからでもあります。》




「<火炎雨>!」


「<連突>!」


 ゾンビは塵にするか浄化しないと倒せないから、<火炎雨>と<連突>でダメージを食らわせ、エリーゼの<神聖剣術>で浄化する。




 しばらく進むと、オーガに出会った。


「<火炎弾>!」


「風嵐剣術・二式<疾風斬>!」


「<力の粉砕パワースマッシュ>。」


 こうして、オーガは死んだ。




「魔力消費が心配ね。」




 次はゴブリンの群れだ。誰かが襲われている。見ると、同年代の少年だった。


「<聖光の拳>‼」


 おっと。全部撃退されてしまった。強い。




 RPGなどでは雑魚キャラとされるゴブリンだが、この世界では十分に脅威である。


 初級冒険者は圧倒され、低レベルの中級冒険者と互角に渡り合う。


 因みに、初級の基準はG-、G、G+、F-、F、F+、E-、Eで、中級はE+、D-、D、D+、C-、C、C+、B-ランク、上級は残りだ。


 ゴブリンのランクはCだ。これだけでかなり強いことがわかるだろう。




「大丈夫ですか?」


「大丈夫だ。ありがとう。」


 この人には是非、付いて来てもらいたい。




「ところで君達はここで何をやっているの?」


「<東方黄金竜帝王イーストドラゴン>を倒しに来た。」


「そうか。俺はセイイチ=ナキャガワだ。<東方黄金竜帝王イーストドラゴン>退治に参加したい。」


 戦いのすぐ前に、新しい仲間が増えた。




「連携訓練でもするか。」


「そうだな。俺は今入ったばっかりだし。」




 しかし、キャラが被るな。


《それに関しては何も言えません。》




「セイイチは、ここで何をしていたのだ。」


「ちょっと依頼を受けていて。ゴブリンを二十匹討伐するっていう。」


「なるほど。今の達成情報は?何なら手伝うか?」


「今は十五匹討伐完了している。」




 日にち毎に倒したモンスターの、種類や数が表示される、ギルドカードはエル位便利だと思う。


《私の方が便利です。》


 セイイチのギルドカードの色からすると、ランクはB台のようだ。




「劣化ヴァンパイアだ!」


 劣化ヴァンパイアはランクBらしいし、冒険者にとってはかなりの脅威だ。少し威圧を感じる。




 勿論俺は、簡単に倒せてしまう。


「<五連雷槍>!」


 <雷槍>の五連で痺れさせ、痙攣させて殺す。




「容赦ないな……。」




 そうして数々のモンスターと戦いながら進む。そして急ぐ。<東方黄金竜帝王イーストドラゴン>がいる森の最奥のへ。




 かなりの数のモンスターを叩き潰し、<東方黄金竜帝王イーストドラゴン>の近くへ行く。


 今日は魔力を消費してしまったので、野営することになった。




 焚火を用意し、食料を出して食べ、交代で見張りをすることにして今日はもう寝ることになった。


 俺は一旦意識を落とす……。




「―――起きてください。交代ですよ。」


 目を開くと、目の前には笑顔を浮かべた神聖な雰囲気がするエリーゼの姿があった。




 機嫌が良くなったのか。




「ああ、起こしてくれてありがとう。もう寝ていいぞ。」


 するとエリーゼは寝たようだ。




「この戦いが終わったら、告白するんだ。」




 ―――翌日。俺達は<東方黄金竜帝王イーストドラゴン>の元に進むと、<東方黄金竜帝王イーストドラゴン>と対峙する。




 そこにいるだけで、魔力を使っている先程の劣化ヴァンパイアの威圧とは比べ物にならないほどの物凄い威圧を放つ、<東方黄金竜帝王イーストドラゴン>。


 きっとこの威圧は、<東方黄金竜帝王イーストドラゴン>の魔力による威圧ではないのだろう。


 それでも空気は震え、<東方黄金竜帝王イーストドラゴン>は光り輝く竜麟を更に輝かせる。




「すごい威圧だ……!」


 リョースケは引き腰だ。まあ、この<東方黄金竜帝王イーストドラゴン>の威圧を前にして「絶対勝てる!」などと思うやつはもう人外である。




「本当に、勝てるの……?」


「勝てるかじゃない。勝つか勝たないかだ!」


 俺はよく聞く有名なセリフを言う。




 格好つけだ!


《威張ることではないですね……。》


 むう……。




「(こんなに格好良くて頼りになるから好きになるんですよ……。)」


 エリーゼは泣きそうになりながら何か言っているが、小声だったので良く聞こえなかった。




 俺にとっていいことだと良いな。




「何かあったか?」


「は、はい。」


「何があった?」


「い、いえ。何でもないです。」


 どっちなのかはっきりしてほしい。




「じゃあ、作戦開始して問題ないか?」




「はい。」


 とエリーゼ。




「うん。」


 これはリョースケ。




「いいわ。」


 とイルマ。




「勿論だよ。」


 ジュンジュンも準備はいいみたいだ。




「いい。」


 ジーナは言葉少ない。




「ああ。」


 セイイチも戦う準備は万端。




 よっしゃ、行くぞ!


「作戦、開始だ!」

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