2話 生と死


 何があったのだろうか。俺は声が聞こえたほうを向く。そこには、(常人には)信じられない光景が広がっていた。


 俺は信じられた。一瞬驚いたけど。まあ魔法使い(俺)がいるからな。


 火のドラゴン……体長10メートル程のやつが暴れていた。こいつに<能力見眼>を使ってみた。




苗字:- 名前:- 性別:男 Lv.53 精神Lv.-


階級:強力級 種族:竜ドラゴン 属性:炎 年齢:1278歳


攻撃:1200 防御:8700 速度:1100 魔力:8690


能力スキル:ドラゴンブレス<ファイアブレスLv.99、ボンバーブレスLv.76、ウォールブレスLv.65>、竜<竜咆哮Lv.87、竜鱗強化Lv.86>、引っ掻きLv.68、噛み付きLv.28、威圧Lv.97、飛行Lv.100 派生=飛行強化Lv.98、剛壁Lv.75




強力級だってね。どの位の階級があるのだろうか。


《<神獣級>、<天災級>、<伝説級>、<究極級>、<絶望級>、<災害級>、<巨大級>、<強力級>、<上位級>、<中位級>、<下位級>があります。》


 なるほど。


 多少見にくいな、ステータス表示。


《変更できます》


 ……出来たのか。最初に言っとけば良かった。


《いえ、<能力見眼>がLv.3になった事によって解放されました》


 ……そうだったのか。じゃあ変えてもらおう。


《変更しました》


 ……んで、こいつには勝てるのか?


《75%の確率で勝てます》


 そしてとてもうるさい野次馬たちが野次馬根性を見せつけてくる。まあ、そんなものいらないけどね……。




「あれ!ドラゴンじゃないか!」


「マジか!カッケー!」


「え、でもヤバいんじゃないか⁉」


「ドラゴン可愛い!」


「私もそう思う!」




 正式名称は竜・炎属性だが……。彼らは知る由もない。




 顔を上げる。するとそこには俺に向けてドラゴンブレスを放つ火竜ファイアドラゴンがいた。


 俺は本能レベルの感知で咄嗟に<魔法障壁>を展開して、ギリギリで<ドラゴンブレス>を止める。


間を置かずに水球を火竜ファイアドラゴンに撃つ。




 野次馬が何か言っているが完全無視の放置だ。




「あれ魔法⁉」


「カッコよー!」


「彼氏に欲しい!」


「強ぇ!いいなー!」




 ドラゴン……じゃなくて火竜ファイアドラゴンは避ける。流石に速度:1100だ。回避くらいは造作もなかった。




「ヤベェなぁ⁉」ちょいと野次がウゼェ。




 今度は連続で水弾を撃つ。野次はうるさいが攻撃の手は緩めたりしない。




「ドラゴンって強キャラ設定多いのに、圧倒しているぞ!」


「倒せてはいないけれども!」




 ……ウゼェ。文句あるならお前が戦え。




「イジメをされてしまって可哀想……」




 60代くらいの男性だ。お前なら知っていると思うが、「同情するなら金をくれ」




 ネタに走るのは止めておいて、取り敢えず攻撃速度を限界まで高める。というか、今思った。Lv.3がLv.53に勝とうとかヤバいと思う。




「ぎゃぎぃぎゅぎぇぎょー!」




 バイキ○マンかよ。攻撃が数発当たったようだ。


《6発です》


 そして竜は、《生命活動を停止しました》とさ。《おしまい》チャンチャン。




「イエーイ!」


「いいぞー!」


「フウゥゥゥ!」


「カッコイイー!」




 ……ヨーロッパでパフォーマンスした後みたいだ。


 一方、「自作自演だろ!」とか言っている人もいる。




「ドドドドドドドドドドドドドドド!!!」


「ん?何の音だ?」




 見ると、魔物が。……沢山。


《4508匹です。種類は、魔王、ゴールデンドッグ、インパルスウルフ、ミートキャット、スライムロード、ブルースライム、グリーンスライム、イエロースライム、レッドスライム、オレンジスライム、ピンクスライム、メタルスライム、ゴールドスライム、れっさースライム、スライムソードマン、バトルスライム、スライムアーチャー、ゴブリン、ゴブリンロード、(以下略)です》


 うん……?魔王……?魔王って言ったのは、気のせいですよね……魔王討伐やらされないよねぇ。


《魔王です。魔王討伐してください》


 んなっ!魔……魔王⁉勝てるのか⁉


《1%の確率で勝てます》


 もう殆ど勝てないでいいじゃないか。絶対勝てないって。無理、無理。




「お前が噂の魔法使いか。『地球』で魔法に目覚めるとは……」




 魔王の声だろう。魔王は火の玉を周りに回らせている。




「お前は……誰だ!目的は何だ!」


「黙れ」




 今まで食らったどの<威圧>よりも強い威圧がさっきのたった一言に込められていた。つまり、誰よりも強い。一瞬、動けなくなった。




「何……なんだ……この……強い……威圧……は……」


「いいから黙れ」




 更に威圧が強くなる。




「お……ま……え……は……な……に……も……の……だ……」


「お前は黙れないのか?」




「ぐ………………」


「それでいい。分かったら死ね」




 すると魔王は無造作に指をこちらに向けた。俺は咄嗟に<魔法障壁>を展開する。すると魔王の指から光線が放たれた。勿論、俺に。




「これ守っても死ぬと思うよ?」




 そして俺は………………。




 魔王は指を野次たちに向け、光線を撃った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る