素直じゃない人たち
「ねぇ、煙草吸いすぎ。肺真っ黒になるよ」
「ん?ああ、たしかにそうかもね。でもさ、たとえ僕の肺が真っ黒だとしても僕には見えないし、触れないわけだろ?ならブラックボックスさ。真っ黒なだけにね。そりゃ医者に胸開いてもらって写真でも撮って貰えばそれとしては見れるけど、結局それも肉眼で直に観測したことにはならないし、タイムラグがあるだろ。ゲホッゴホッ…失礼。まぁつまり真っ黒な自分の肺なんて存在を証明できないってわけ」
「貴方いつからシュレディンガーの真似事するようになったの?それかリアリストにでもなるつもり?それに存在を自分が観測できないなら存在はないって結論なら私たちは自分のことそのものも証明できないじゃない。鏡を見て私たちは私たちを認識できるけど、貴方の理論ならそれは存在の証明にならないわけでしょ?自分の視覚っていう物的証拠がなくても、貴方今咳してたじゃない。それは状況証拠として証明に使えるんじゃないの。それで?次はデカルトでも引っ張り出す?」
「…」
「…」
「なんの話してたんだっけ」
「貴方が私に肺が真っ黒になっても煙草吸いたいって駄々こねてる話」
「君が僕に心配だから煙草やめろって説得してる話」
「…」
「………………」
「…わかった。わかったからそう睨むな。本数減らすよ」
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