キノコのリゾット(第105話~第106話)

 乾燥パスタを茹でる際に塩を加える理由、知ってますか?


 ✕ 沸点を上げるため


 気圧が高いと沸点は上がりますし、低いと下がります。

 標高1500m程度のところであれば、95℃で沸騰します。

 茹でる温度を上げるために塩を入れなきゃいけないなら、高地に住んでる人は塩分過多で死んでしまいますね。



 ✕ 麺がくっつかないようにするため


 麺は茹で時間の半分くらい経ったところで表面が糊化してきます。

 そのタイミングで混ぜてあげればもうくっつきません。



 ◯ 塩味をつけるため


 本編でも少し触れていますが、乾燥パスタには塩が入っていません。

 原材料を見ると「デュラム小麦のセモリナ」とだけ書かれています。

 これを茹でただけだと麺に味がないので、塩味をつけるために塩を加えるんです。



 そして、リゾットをつくるときも同じように「米に塩味をつける」ために、米を茹でるタイミングで塩を入れます。

 本文でもポイントとして書いています。


──── 本文第105話より ────


 米全体に油がまわって透き通ってきたら火を強め、白ワインを入れてアルコールを飛ばし、水を加えて米を煮上げていく。

 実はここで塩を入れるのがポイントだ。

 仕上げる直前に塩を入れても米に塩味がつかない〟


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 本編ではリゾットづくりを中心に、ほうれん草のアーリオ・オーリオ、マッシュポテト、キュリクス肉のビステッカを作るという同時並行調理を書いています。

 そこで時間の問題もあって端折っているのですが、キノコを中火でじっくりと炒めると、キノコが柔らかくなって汁が出てきます。

 実はこのタイミングで米を入れるのが美味しく作るコツなのですが、4つの料理を同時並行で作るときにその余裕がないと思って省いています。


 ということで、レシピにはそのあたりも反映して書いておきます。



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【材料】(1人前)

・米                   1/2合

・玉ねぎ                 1/4玉

・ぶなしめじ               1/2株

 (マッシュルームなら 小6個)

・無塩バター               20g

・オリーブオイル             大さじ2

・白ワイン                50cc

・パルミジャーノ・レッジャーノ(粉)   大さじ3

・自然塩                 小さじ1/2

・胡椒                  少々

・水                   適量


【作り方】

①玉ねぎはみじん切り、ぶなしめじは石突きを取って小房に分ける

 (マッシュルームを使う際は、スライスしておく)


②フライパンにオリーブオイルを入れ、玉ねぎを入れて炒める


③玉ねぎがしんなりしてきたら、キノコを入れて更に炒める


④キノコから汁が出てきたら米を入れてさっくりと混ぜ合わせる。

 ※キノコから汁が出るのも食材のサイン


⑤. 米全体に油がまわったら、白ワインを入れてアルコールを飛ばし、水と塩を加えて沸騰するまで強火、その後は中火で煮る。

 ※水の量はひたひたよりも少し多いくらいまで入れる


⑥フライパンの水分が減ってきたらレードルで水を加えて煮る。

 ヘラなどを使わず、フライパンを水平にしたまま円を描くように動かして混ぜるのがいい。

 これを3回くらい繰り返す。


⑦味見をして、芯が少し残っている程度まで煮えたら強火にして水分を飛ばす。


⑧無縁バター、パルミジャーノ・レッジャーノ(粉)を入れてさっくりと混ぜ合わせ、お皿に盛り付けたら、黒胡椒を散らす。


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 私は料理というのは五感を駆使してつくるものだと思っています。


   視覚:目で見て

   嗅覚:鼻で嗅いで

   聴覚:音を聴き

   触覚:指で触れて

   味覚:味を確認する


 だから料理を作るとき、食べるときの文章もこの五感を大切に文字にしているつもりです。


 そのせいで少し表現がクドくなるところもあると思いますが、ご容赦くださいませ。

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